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冷蔵庫を開けるも小腹を満たせそうなものはほとんどなかった。卵や米、野菜はあるので調理すればいいのだが面倒だった。
「コンビニでも行こうかな」
そう決めた私の行動は早かった。部屋着から着替え、カバンを引っぱり出してくる。財布の中身を確認して玄関へ向かう。扉を開けると同じタイミングで隣の部屋の扉も開いた。
「あれ、みょうじこんな時間に出かけるの?」
「角名くんこそ」
私の住むマンションの部屋の隣にはクラスメイトの角名くんが住んでいる。最初に知った時はそれはそれは驚いた。怖い人だったら嫌だなぁとか思っていたけれど、全然そんなことはなく今では作りすぎたおかずをおすそ分けする程の仲だ。
「俺は男だし。みょうじは女の子なんだからもっと危機感を持つべきだよ」
「近くのコンビニだから平気かと思って」
「俺もコンビニ行きたいから一緒に行こ」
確かに辺りは真っ暗で視界は良くはない。おまけにこの辺りは商店街が近いがほとんどシャッター街と化しているため人気もない。角名くんの言うことも最もだ。
二人で街灯の疎らな道を歩く。空を見上げると月が雲間に見え隠れしていた。
「角名くんがこの時間起きてるなんて珍しいね?」
「なんか目が冴えちゃって。みょうじは夜更かし?」
「そうだよ〜。最近ネットゲームにハマってるの」
コンビニに着くまでたわいの無い会話を楽しんだ。角名くんが居てくれたおかげで夜道を気を張らずに歩けたのはありがたい。
目的の物を買い、それぞれ会計をすませる。先に会計を済ませた角名くんは外で待っていてくれた。
「おまたせしました」
「ん、行こっか」
「あっ、いいな。唐揚げ私も買えば良かった」
角名くんは唐揚げを食べながら私を待っていた。人が食べてるのを見ると欲しくなっちゃうんだよな。
「みょうじ、あーん」
「へ、あ、むぐ」
まさか一つくれるとは思っていなかった。これチーズ味のやつだ。美味しい。ありがとうとお礼を言ったつもりだったのだが、もごもごとあまり上手く言葉にならなかった。その様子が面白かったのか角名くんは吹き出した。
行きと同じ道を通って帰る。さっきまで雲があった夜空はすっかり晴れきっていて星が瞬くのが見えた。
マンションに着き、階段を上がれば自分の部屋はもうすぐだ。
「お付き合いありがとうね」
「いいよ別に。ってか夜道の独り歩きはなるべく避けなよね」
はーい、と返事をするとよろしいと返される。
「これから夜出歩くなら連絡して」
「過保護だなあ」
「そりゃ過保護にもなるよ。好きな子なら尚更ね」
ドアノブに手をかけたまま固まる。今何と…?
「い、今…角名くん、あの?」
「じゃ、おやすみみょうじ」
そのままバタンと扉は閉められてしまう。言い逃げか。角名くんの発言により、どきどきと脈打つ心臓とは裏腹に辺りはしんと静まり返っていた。






三題噺・お題:『ネットゲーム』『シャッター街』『0時0分0秒』



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