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*気づいてよポラリスの続き




侑の爆弾発言から数日。あれから少しずつまんまと意識してしまい、完全に侑の思うつぼである。部活中も彼を避けがちになってしまい、姿を見つけると反射的に身を隠してしまう。いかにも意識してますって感じで逆に恥ずかしい。
そんな私の行動を遠目に見られているとは露知らず。侑とチームメイトはその姿を見て話す。
「侑遂に言ったんか?」
「あ〜…、まあ?でもあれ脈はあるやろ。意識してます言うてるようなもんやん」
「気のせいちゃう?」
「何おう?!」

◇◇◇◇◇


最近の私の態度は褒められたものではない。部活にも集中したいし。というか侑はいつから私のことをと気になったので3年生に聞いてみる。
「あ、あのさ単刀直入に聞くけど…」
「侑のことか?」
「何で!?」
「いや、今のバレー部の一大名物やん」
そんな?!いつそんなことになったんだ。みんな口々に言い出すため、誰1人ここには味方がいないのかとしょげた。
「しかしやっとか」
「えっ、やっと…?」
「やって侑、他校に練習試合行く度にお前の傍離れんやん。何なら威嚇までしとるで」
なんだって。そんなこと知らなかった。そんな今日は練習試合である。タイミングが良いのか悪いのか。好機と捉えて侑をちらちらと観察することにする。結果としては、言われた通りであった。他校の選手が近づこうものならガンを飛ばし、基本的に私の近くにいる。気づいたら何だか恥ずかしくなってきた。いつもの私はこれで平気な顔をしていたのか。……別に他校の選手とどうこうなんてならないのに。この状況を何とかしたかった私は侑を体育館の外へ連れ出した。
「何?!なまえちゃん先輩積極的やん?!」
急に侑の手を取って外へ引っ張り出したことに驚いたのか、アホなことを騒いでいたがこれはスルーだ。うん、スルーするに限る。
「侑。他校に威嚇しない」
「……なまえちゃん先輩がよそに取られたら嫌なんやもん〜」
「…安心しなよ。前はともかく、今は侑しか見てないし」
「?、!、なまえちゃん先輩それって…!」
「わかったらいつも通り試合に集中してこい!!」
言うだけ言って侑をコートに押し込んでマネージャー業務に戻る。言い逃げに近いが言いたいこと言えたのですっきりはした。

◇◇◇◇◇


練習試合はいつも通りどころかいつも以上にキレキレの侑によってストレート勝ちを収めた。
「いつもこれくらい集中してくれればな」
「本当にね…」
試合後に尾白と今日の試合中の侑について話す。今日の集中っぷりは凄まじく、自惚れてしまいたくなるほどだった。
「しかしみょうじもほんま鈍感やな」
「赤木お黙り!」
「でもメンバーみんな知っとるで」
「えっマジで…?」
「みょうじはバレー馬鹿やからな!」
「ええいうるさい!」
しかしここで私は気づく。そういえば言い逃げしたままだということに。
「なまえちゃんせ〜んぱい!」
にこにことした可愛い後輩が私を呼んでいる。おそらくこの後一緒に帰ることになるだろう。流れに身を委ねてしまえ。彼に白旗を上げる準備はもう出来ている。






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