必須条件 【1/2】
「なぁなぁ、西側の3列目の子可愛くなかった?」
「お前、少しは試合に集中しろよ。」
「よし、今日はあの子の為に……。」
「海常(ウチ)のために戦え!!」
キレの良いツッコミが森山に突き刺さった。
まったく…と笠松が溜息を吐くのもいつものことだ。
「苗字、このバカどうにかしてくれ。」
「え、無理に決まってるじゃん。」
コイツが私の言うこと聞くわけないし。
放っておくのが一番だ。
試合が始まればちゃんと集中するだろうし。
「……はぁ〜〜〜。」
盛大な溜息を吐く笠松。
「笠松、アイツのために幸せを逃すような真似
しちゃダメだよ?」
「あぁ、分かってる。」
森山なんかに…。
ほんと、気の毒だ。
「名前〜…ちょっと付き合え。」
「はぁ?なに、急に。」
「いいから来い。」
手を引かれて控え室から無理矢理引っ張り出された。
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