笑顔で隠す 涙と傷





「卒業、おめでとうございます。」







「ありがとう、森山。」







「いえいえ。
先輩みたいな美人な方の旅立ちは
ちゃんと見送りたいですから。」







「相変わらず口説き文句は上手いね。」







「本音ですよ。」




ふふふ、と名前先輩は静かに笑う。




けど、その目尻には確かに涙を流した後がある。




「そういえば、笠松は?」







「そういえば、どこに行ったんでしょうね。
式にはちゃんと参列してたんですが・・・」




アイツは多分来ない。




それは、きっと名前先輩もわかってる。




「そっか〜
・・・ざ「ちゃんといるっス。」







「…おせーぞ、笠松。」







「っせーよ。」




肩を思いきり殴られた。




相変わらず手加減ってやつ知らねーんだな…。




「名前先輩」







「ん?」







「来年は絶対にリベンジします。」







「・・・うん
絶対観に行くね。」







「ご卒業、おめでとうございます。」




その時、
卒業生集合の合図がかかった。




「ありがとう。
じゃあ、2人とも頑張って。」




最後に笑って手を振った。




冷たい風が、名前先輩と俺達の間を隔てる。
















「気付いてたか。」







「・・・そこまで、鈍かねーよ。」















 





笑ってたけど




その裏には




あの日の涙と傷が。




「俺は、弱ぇ・・・」









end






2012/03/22.







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