海辺の恋に 【4/7】
「名前。」
「なんですかー?光洋せんぱーい。」
「……静かだな。」
「静かですね。」
陽が落ちた海に人はいない。
その砂浜に腰を下ろして
ただ波の音を聞く。
一定のリズムを乱さない。
それが心地良く耳に響く。
「何で急に海なんだよ?」
「んー何となく来たくなっただけです。」
「はぁ?んだよそ(れ)」
ちょっと呆れたように失笑する光洋先輩。
波の音を聴きながら私の我侭に付き合ってくれる光洋先輩。
私は先輩が好きで。
その先輩を振り回したかっただけなのかもしれない。
波の音はどこか私を素直にさせてくれるようだ。
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