bad days



「死はね人を縛り付ける楔なんだよ。」




いつかお前が言ってた言葉。




あれは何回目のリピートの後だっただろうか?




あの時の笑みは今もまだ脳裏に焼きついてる。




「哀恋…。」




死は楔だって言ってた本人が楔になってどうすんだよ。




あれから10年。




俺はあの頃よりも老けた。




しかし、お前は18のまま変わらない笑みを浮かべ続けてる。




止まった時間は、2度と動かない。




「でもね。
私は死んでもみゃーじの楔にはなりたくないんだ。」







「何でだよ。」







「私を好きでいたことを覚えていてくれればそれだけで幸せだもん。
私が楔になることで、みゃーじが幸せになれないのは嫌だよ。」








「忘れられるわけ、ねぇだろ…。」




所詮、高校生の恋愛だったなんて割り切れない。




そんなもので割り切れるほど、簡単なものじゃなかった。




死は最恐なんだよ。哀恋。




「宮地ー…。」







「よぉ。
久しぶりだな。」




無機質な石に合わせてた手を下げた。




「早いですね。来るの。」」






「あたり前だろ。」




なぁ、哀恋。




10年経ってもお前は俺達の中にいるんだぜ?




もうとっくに切れてる縁だったかもしんねぇのに。





なのにお前のおかげで、今もこうして繋がってるんだ。




「早いっスね、時間の流れって…。」




ボソリと高尾が呟いた。




10years later is …




変わらない友人達と後輩達。

変わったのは、この場にお前がいないだけ。


「清志。」


俺に向かって笑いかけてくれるお前はもう、いない。




あれから10年。
ほんとに大切なものは失ってから気付くんだと初めて理解できた。




「哀恋…。」


この声はお前に届くのだろうか?



end








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