15;00
あの暗い空間で聞こえた名前。
茨路哀恋というのは私の名前だったみたいだ。
「えっと、宮地清志君と大坪泰介君,木村信介君
それに、高尾和成君に緑間真太郎…?」
「よろしくっス、哀恋センパイ!」
にこにこと人懐っこい笑みを浮かべる高尾君。
なんでだろう。
その笑みを見てると、何か…、
そうだ。
弟の面倒を見てるような、
そんな気分になるんだ。
「どうだ?
何か思い出せそうか?」
「わからない…。」
「まぁ、そう焦るな。
今日はもう家に帰って休め。」
大坪君のその言葉を合図にしたように全員が立ち上がる。
「宮地さん、ちゃんと哀恋センパイ送ってってくださいよ!」
「ったりめぇだ。
お前と一緒にすんな、バカ尾。
哀恋、行くぞ?」
「あっ、うん。
じゃあ、また…ね?」
軽く手を振って宮地君の1歩半後ろを歩く。
ふと、何かがよぎった気がした。
15:00その大きな背中をどこかで。