16;30
「大丈夫か?」
「ごめん。ちょっと気持ち悪いかも…。」
せっかく試合に圧勝したのに。
その空気を壊しちゃう自分が嫌だ。
「茨路、バス酔いか?」
首を横に振る。
多分、バス酔いという類のモノじゃない。
「寝てたらどうだ?
少しは楽になるだろ。」
「ありがとう、木村君。」
でも、何でだろう。
寝たほうが、さらに嫌な…。
例えば…、
そう。
恐い夢を見ちゃう、みたいな。
「無理は禁物なのだよ。」
「うん…。」
「何か思い出すんスかね?」
「…かもな。」
バスに乗せたことが凶と出るか吉と出るか。
まだ、わかんねぇ。
瞼を閉じたままの哀恋の髪を撫でる。
16:30それは、彼女次第。