迷いを捨てたら
何となく、
胸騒ぎがした。
それは主将のあの後ろ姿を見たときからずっと。
「だぁ!!」
グダグダ考えるのは嫌いだ。
だから、走り出した。
もと来た方向へ。
主将の後を追うようにして。
「くそっ、どこだ…?」
しかし、後を追うにはあまりにも時間が経ちすぎていた。
もうどこに行ったか見当もつかない。
「紗枝も幸せ者だよね〜。
今吉君が彼氏なんてさぁ〜。」
「ほんとほんと。
超羨ましい!!」
ふと聞こえた会話。
やっぱりあの二人は付き合っていた。
「でもさ、どこに行ったんだろうね。」
「さぁ?
旧館の方へ行くのは見えたけど…。
まさか…ねぇ?」
そんな話題で盛り上がってる先輩達。
旧館!
その情報を頼りにして、走り出す。
全速力で、
そこに紗枝先輩がいる事を信じて。
迷いを捨てたらあとは真っ直ぐ走るだけ。
その場所へ
自分を信じて。