その瞳に堕ちた





「翔一いる?」




丁度朝練が終わった時にかけられた言葉。




それは主将を呼ぶ言葉。




振り返ると150cmちょいくらいの綺麗な人がいた。




「あぁ、主将なら先に上がったっすけど…?」







「…そっか。
ありがとう、若松君。」




そう言って体育館に背を向ける。




その後ろ姿がとても小さく見えて、





思わず引き止めた。





「あっ、あの…!」







「ん?」







「あっ、その…
主将に何か伝言があるなら伝えましょうか…?」




そんなありきたりな言葉しか出てこない自分が情けなかった。





「…じゃあ、紗枝が
“今日は一緒に帰ってくれるの?”
…って言ってたって伝えてもらっていいかな?」




憂い…いや、愁いか?




知ってるだけで使ったことはない。




どんな場面で使っていいのかわからない。




でも、今の紗枝先輩の瞳は多分愁いを秘めてる。





そう言うのが一番合ってると思った。




「わかりました。」




頭を下げる。




あぁ、この人はきっと…。





でも俺は、





この一瞬で







その瞳に堕ちた



それはきっとしてはいけないこと。





頭では




理屈ではわかっていた。












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