するわけがない
「んで?
一応確認しとくけど…
もう、逃げへんよな?」
「俺は決着を付けたいんスよ。
逃げたらそれこそ前と変わりねぇっス。」
その回答に満足したように頷いた。
「ほんで?
紗枝をどうしてほしいん?」
「解放してください。
アンタからも、今の状況からも。」
「ワシが頷くと思うん?」
頷くわけがない。
それなら、最初っからやってるはずだ。
「さて、若松はどうする…「もうやめて、翔一。」…主役の登場か?」
振り返れば、息を切らせた紗枝さん。
「ごめんね、若松君。
こんなとこまで巻き込んじゃって。」
「いや、俺が勝手にやってただけで…。」
「ありがとう。
でも、これは私がやらないといけないことだから。」
キッと主将を見据えた。
「翔一。」
「何や。」
「私はアンタが大嫌いだ。」
するわけがない主将から逃げるなんて
紗枝がワシを拒絶するなんて
そんなこと、するわけがない
「翔一、私はアンタが大嫌い。
だからもう、私に関わるな。」