それならいっそ
「今吉さん。」
「何や、若松。
よぉ3年の教室に来れたな。」
「あんまり茶化さないでください。」
「スマンスマン。
で?何の用や。」
「アンタならわかってんだろ。」
俺の何十倍も頭のいい主将なら。
きっと俺が考えてることなんて全部わかってる。
すっと主将のメガネの奥が細められた。
3年の人の面白いものを見るような視線を感じる。
どーせ色々考えたって主将に及ぶわけがねぇんだ。
「どっか別の場所で話そか。」
「奇遇っスね。
俺もそう思ってたんス。
野次馬とかムカツクんで。」
予想してたより冷たい声が出た。
慌てたように背中の視線が逸らされた。
それならいっそ「言うようになったやん。」
「誰かさんのおかげ様で。」
「さよか。
じゃあ、行こか。」
「っす。」
もう、後には退けない。