抗う他術はなく
「主将。」
「おっ、若松やん。
どうかした「止めてください。」…何や、藪から棒に。」
変わった。
明らかに、纏っていた空気が。
「紗枝先輩。
主将の差し金ですよね?」
「何の事やろうな〜。
ワシにはわからんわ。」
「ふざけ…「やめとき」…っ?」
肩に置かれた手に力が入る。
「ここで騒ぎ立てても不利になるのはお前や。
それに、若松。
お前かてうちのレギュラーや。
…言うてる意味、わかるやろ?
若松でも。」
試合に出たければ面倒を起こすな。
いくらはっきり言われていないから、
と言っても、それくらいは理解できる。
「お前は、欠かせないスタメンや。
わかったら、さっさと手を引きや。」
すっと、手を外された。
「若松…?」
「…引きません。
絶対、紗枝先輩への嫌がらせは止めます。」
抗うほか術は無く「…なら、勝手にしぃや。」
「はい。」
「それで試合に出れんようになっても
知らんからな。」