沈む幻想
「彩歌ちゃん」
「あっ、さつき」
「最近大丈夫?
何か、無理してるみたいだけど・・・」
「・・・大丈夫だよ?心配しないで」
本当は全然大丈夫なんかじゃない。
今にも、心が折れそうだよ。
でも、皆がそれでいいなら・・・
私は選手じゃないから
だから、プレイには何も言えない。
「そっか・・・
無理だけは絶対にしないでね」
「うん
さつきも人の心配だけじゃなく
自分の体の心配もしてよね」
「はいはい」
手を振って別れた。
さつきの姿が見えなくなると、
ただ静かに手を下ろす。
遠くで、ドリブルの音が聞こえる。
バッシュが床を擦る音が聞こえる。
耳を
塞ぎたくなった。
沈む幻想ゴメンねさつき。
さっき、嘘を吐いて。
もうさ
耐えられないかもしれない・・・。