言霊の夢
人伝に順調に勝ち進んでいる事を聞いた。
今日の午前中、準決勝のVS照栄。
トリプルスコアだって
さつきからメールが来た。
・・・きっと、決勝も・・・勝てる。
「彩歌」
「・・・大輝」
「ちょっと来い」
ジャージのままの大輝。
試合から帰ってきたばかりなのが
一目でわかった。
「・・・なに?」
「彩歌、先に言っとく」
「え?」
「俺は、ずっとお前が好きだった」
こちらに顔を向けず
フェンスのほうを向いて話す大輝。
・・・私が、好きだった?
「お前を変えたのは、俺だ
だから、偉そうな事は何も言えねぇ
・・・けど、明日の決勝だけは
絶対、お前には観に来て欲しい」
真っ直ぐと
射抜くような視線。
言霊の夢その瞳は
まるで
昔のようだった。