(一度断ってから了承) 『1、はいと答える』【PS追加ゲームオーバー・危険な男】 | ナノ
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「それほどいうなら、いうとおりにします」

「ありがとうございます」
私がそういうと、荒井さんは礼をいって微かに笑った。
ここは荒井さんを信用してみよう。
他の人たちも一応は了解した。
ただ、風間さんだけは黙っている。

荒井さんは、風間さんのそんな様子を気にすることなく話を続けた。

「では、はじめます」
荒井さんは何か念じはじめた。
部屋の中の空気がどろどろと動いている感じ。
そして、空気が青く光るように見えた。
「皆さん、顔を下に向け目を閉じて下さい。
どんなことがあろうと、顔を上げてはいけません」

私は目を閉じて顔を下に向けた。
「霊感の強い人ならこの部屋のどろどろした空気を感じることができるでしょう。
今、『何か』がこの部屋にいるのは確かです。
……その気配を感じても慌てないでください。

私たちは気を落ちつけて、じっとしていればいいのです。
霊達はあなた方の体にまとわりついていますが、我慢して下さい。
これから霊達を排除します」
そういうと、荒井さんは言葉を切る。

私は暖かい光に照らされている感じがした。
そして、さっきまでまとわり付いてたどろどろしたものが溶けて、清々しい空気に代わっていくような様子を感じていた。

風間さん!
今のは風間さんの声だわ!
「目は開けないで下さい!」
悲鳴と同時に荒井さんは叫んだ。
私は指示にしたがった。
「みなさん、目を開けて結構です。
倉田さん、電気を付けてくれませんか」

……風間さんは無事だった。
でも……、彼は脅えた顔をして荒井さんを見ている。
「風間さん、どうしたんですか!」
私は風間さんにいった。

「……風間さん。
あなたは、見てはいけないものを見てしまいました。
しかし、あなたは誰にもそのことを語ることができません。
その理由は説明するまでもありませんね……」
風間さんは小さくうなずくと、視線を下げて震えだした。

「みなさん、この部屋の霊を一時的に退散させました。
しかし、このような話を続ける限り、また霊は集まって来ます。
皆さん、この話を続けている間は気を抜かないで下さい。
………じゃ話を始めましょうか」

私はみんなを見回した。
みんなもあのどろどろとした空気を感じたらしく、神妙な顔をしている。

私は風間さんを見た。
彼の目はうつろに開いている。
目の焦点が合ってない感じだわ。
「風間さん、どうしたんですか」
風間さんの様子は普通じゃなかった。
……一体何を見たというの。
彼は脅えていた。

「倉田さん、風間さんは私のいうとおりにしなかった。
彼はあのとき目を開けてしまったんです。
彼は語れない、それに知らないほうが君のためでもあるんですよ」
荒井さんは、風間さんを見据えた。
「彼は、この問題を気軽に扱いすぎたのです」
荒井さんは淡々と語った。
「倉田さん、世の中には知らない方がいいこともあります」
「どういう意味ですか」
「倉田さん、君も下らない人間の一人だったようですね。

……それほどいうなら彼が見たものをお見せしましょう。
他の人を巻き沿えにしてはかわいそうです。
近くの教室へ行きませんか」

荒井さんは、席を立つと廊下に出た。
私は彼の後にしたがった。
不安がよぎった。
これから何が起きるのかしら。
私は後悔しはじめていた。
つまらない正義感で、とんでもない事態を迎えようとしているんじゃないかしら。

私があのとき、荒井さんに対して本能的に感じた危険な匂い。
なぜ、あの感じを忠実に受けとらなかったのかしら。
つまらない良識が邪魔をして、本能的に察知した危険信号に従うことができなかった。
荒井さんは近くの教室に入って行く。

私は逃げたい気持ちをこらえて、彼の後に続こうとしている。
しかし、心のどこかが逃げろという警告を出しているのを感じていた。

そして荒井さんが入った教室に入った。
最後まで、本能が出した警告に従うことができなかった。

私は自分の中で、運命が終わりを告げるのを感じていた。


そしてすべてが終わった…

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