1、急いで家に帰って確認する 【PS追加END殺人テープ】 | ナノ
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彼は内容が気になって、急いで家に帰りました。
そして、家に帰ってテープを確認したんです。

そのテープには何の変哲もない学校の風景が写っていました。
時田君はだれかがホームビデオで撮ったものだと思いました。
「誰のか、聞いて返そう」

映画とか、テレビを録画したものならまだしも、ホームビデオの映像となれば他人の日記を覗き見るような罪悪感があるものです。
そう思いながらカバンに入れました。

次の日学校で、撮ってくれた人達に、そのテープのことを聞きました。
しかし、誰もそのテープに心当たりがある人はいませんでした。
時田君は困り、一緒懸命持ち主を探しました。

まあ、普通なら誰かが申し出るのを待てばいいやと思うのでしょうが。
ここが時田君が嫌われない理由なんでしょうね。
でも、結局、見つかりませんでした。

そして、家に帰ったんです。
家に帰っても、テープのことが気になってしかたがありません。
「もしかしたら、中味を見れば誰のかわかるかもしれない」
そう思うと、内容を見るという誘惑に取りつかれました。

映画に興味がある彼ですから、見たいという悪魔のささやきが起こったのも当然だったのかもしれませんね。
もしかしたら、昨日見たホームビデオのシーンの後ろに何か映画が写っているのではないか。

そんな想像を重ねれば重ねるほど、見たいという欲望は、むくむくと育っていったんです。
そして、とうとう、そのビデオをデッキに入れ、中身を見ることにしたんです。

映像には、昨日と同じく学校の景色が写し出されていました。
「あれ、僕が写っている」
そこには今日、ビデオテープの持ち主を探している時田君が写っていたのです。
「これ、昨日紛れ込んでいたもののはずだけど」

そのビデオはさらに続き、夜になりました。
「おかしいな、まだ外は明るいはずだけど」
部屋の窓を眺めると、夕日が差し込んでいました。
時田君はこのビデオを、今日撮ったものと思い込んでいる自分に気付き、おかしくなりました。

「馬鹿だなー、今日撮ったもののはずがないじゃないか」
そして、さらに映像が流れました。

何か、白い人影が写っています。
「誰だろう」
時田君は映像を追いました。
その人影は徐々にはっきりしてきます。

「ミイラ男……、これやっぱり映画だったのかな」
もう、気分は映画を見る体制に入っていました。
そのビデオで展開される残酷シーンを、鑑賞する目で見ていたんです。
もう、彼は、今日の実録だという妄想から解き放たれていました。
そして、ビデオは終わったんです。

時田君は、しばらくの間ボーッとしてしまいました。
稚拙な演出の中に、今まで見たこともない迫力のあるシーンが展開されていたからです。
ミイラ男はある女子高生を追い、無残にも、ちぎり殺したのです。
「自主制作映画に違いない。

学校が舞台になっているということは、学校に関係ある誰かが作ったに違いない」
そう思うと、このテープの持ち主を探さなければ気がすまなくなりました。
この続きを見たい、いや、完成したこの映画を見たい、そう思って床につきました。

そして、うとうとと眠りについたのはもう夜が明け始めた頃でした。

次の日、寝ぼけまなこで学校へ行ってみると、一人の女子高生が殺されていたんです。
それも、無残に引きちぎられて……。
通りがかった時田君は、思わず目を背けました。

そして、目線を地面に落としながら、急いで教室に向かいました。
彼が校舎に入ろうとしたときです。

その地面の片隅に、包帯の切れ端が落ちていました。
そのとき、時田君は悟りました。
あのビデオの映像は本当にあったことなんだと。
そして、あのビデオのシーンが頭から離れなくなったんです。

殺人事件は、異常者の犯行という方向で、捜査が進められたそうです。
しかし、時田君だけは、その事件の真相は別にあると確信していました。

彼は家に帰ってビデオを前に考えたんです。
あれは一昨日、紛れ込んでいたものだ。
しかし、あの事件は昨日の晩に起きたことに違いない。
とすると、あのテープに写っていたものは何なんだ。

でも、どう考えても昨日の殺人事件が写っているシーンに違いない。
確認しなければ、と思いました。
そして、ビデオをもう一度再生しました。

昨日見たのと同じ校庭のシーンでした。
そして、夜、辺りは人気がなくひっそりとしています。
「これから、殺されるんだ」

人影が見えました。

そして、ミイラ男。
「えっ………」

逃げ回っているのは女子高生じゃありません。
男……、警察官です。
警察官が逃げ回っているシーンでした。
「おかしい、昨日見たのと違う」
そして、警察官も昨日の女子高生と同じように、殺されたんです。

「違うテープ……」
そんなはずはない。
「もしかしたら、何シーンか写っているのかな……」
テープを確認し、巻き戻しましたが、最初は同じ警察官のシーンです。
そして、その後には何も写っていませんでした。

部屋中のビデオを確認しましたが、女子高生が殺されるテープはありませんでした。
時田君は、その警察官が殺された時間帯に、学校に行ってみたんです。

校庭には、女子高生が殺された辺りに、縄が張り巡らされていました。
ビデオで警察官が殺された辺りには、死体はありませんでした。
「まだ、事件は起きていないみたいだな」

彼は、警察官が殺されるということを確信していました。
そして、時田君は待ったんです。
かなり待ちました。
しかし、辺りはひっそり静まりかえっています。
時折、パトカーが通り過ぎて行きました。

「こんなことしていたら、怪しまれるな」
そして、帰ろうとした時です。

「ぎゃー」
男の悲鳴です。
時田君は、まるで映画のワンシーンを見ているかのように、その光景を見つめていました。
彼は、現実と映画の区別がつかなくなっていたんでしょう。

その日から彼は毎晩、ビデオテープに写っているシーンを追いつづけました。
時田君はもう、友達に映画の録画を頼まなくてもよくなったんです。

「おい、時田、最近ビデオ録れっていわなくなったな」
「もっとおもしろいものを見つけたんだ」
そんな事をいっていました。
ある日のことです。

学校が終わると彼は家に帰り、いつも通りビデオを見ました。
「今日はどんなシーンかな」

映像には夜の学校が写しだされたんです。
しかし、突然、映像が乱れ、止まってしまいました。

「あれ、おかしいな……、まあ、場所さえわかれば」
そう思って、夜、学校に向かいました。

「この辺だな……」
しばらく経ちましたが、なにも起きませんでした。
「おかしいな、今日はやらないのかな……」
そして、彼が帰ろうと振り返ったときです。

そこにミイラ男がいました。
「うわーっ」
彼の悲鳴は学校に響きわたりました。

そして、死んだんです。
えっ、この話ですか。
実はその日、僕は、前に貸したテープを返して貰おうと思って、彼の家に行ったんです。
彼はいなかったんですが、お母さんが部屋に通してくれて、テープを確認させてくれたんです。

そして、見たんですよ、彼が殺される映像を。
その時は彼と同じように、自主制作映像か何かだと思って気にしませんでした。
でも、夜になって、どうしても気になって学校に見にいったんですよ。
そうしたら、その事件が起きていたんです。

そのビデオがその後どうなったかは知りません。
今度は、誰が殺されるシーンが写るんでしょうね。
僕の話はここまでです。
次の方、お願いします。


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