『3、サスペンス』&『5、ドラマ』【PS追加END謎の鳥】 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
『3、サスペンス』



サスペンスですか。
なるほど、僕も結構、緊迫感を味わうのは好きですよ。
特に、殺人ものがいいですね。
主人公が、身の危険をかんじながら、犯人に追い詰められていく……。
そういうスリルが、たまらなく好きなんです。
ふふふ……。

まあ、その話はまた今度にしましょう。
今回お話しするのは、SF映画にまつわることなんです。



『5、ドラマ』



ドラマですか。
……いいですね。
僕は、ホームドラマの類いが結構好きなんですよ。
心が暖かくなってくるものとか、ハッピーエンドで終わるものとか、大好きですよ。
でも、今回お話しするのは、SF映画にまつわることなんです。



※以下同文※



何ヶ月か前まで、この学校に映画同好会があったのをご存じですか。
その同好会に、時田君という生徒がいました。
彼はSFが好きで、よく休み時間などに、SF小説や雑誌を読んでいました。

学校の同好会では、派手なSFなんて作れませんから。
しかし、本当のSFは、特撮で宇宙船や未来世界を描いたりするものじゃないんですけどね。

そんなある日、学校で汚水タンクの工事があったとき、地面から奇妙な石が出てきたんです。
この場所には、昔隕石が落ちた記録があるらしく、この石はそのときの隕石だろうという話になったんですが。

それで後日、調査するということになって、工事は中止されました。

次の日、調査隊が来ました。
時田君も、その様子を興味しんしんに見ていたんです。
彼はこういうものが好きですからね。
調査は、学校の生徒や先生が見守るなか、始められました。
学校側も教育の一部として、特に規制はしませんでした。

そんな中、その石にかけられているシートが外されました。

しかし、発見された時、大きな丸い形をしていた石が割れていたんです。
誰かの悪質ないたずらという声もありましたが、昨日から続いている暑さのせいだという事になり、調査は続けられました。
そして、その日の調査は終わったんです。

彼は調査隊が帰った後、その石に近づいてみました。
それは、特になんていうことはない石でできていました。
「なんだ、おもしろくないな」
割れた石の中から何かでてくることでも期待していたんでしょう。

しかし、石の断面を見ても、特に空洞があるわけでもなく、時田君の期待は裏切られました。

その時、旧校舎の方で、何かが煙をあげているような音がしたんです。
炭酸飲料なんかがシュワシュワいいますよね。
あれを大きくしたような感じです。
何かがいる。
時田君はそんな気がしてなりませんでした。

もしかして、石から何かが出て歩き回っているんだろうか?
彼は、再び期待を引きずって、旧校舎の方へ向かったんです。

旧校舎の前に着いた時田君は、辺りを見渡しました。
しかし、そこには彼の期待に応えるものは見当たりませんでした。
彼があきらめて帰ろうとすると、また、シュワ……シュワ……という物音がします。

今度は旧校舎の中から聞こえるのがはっきりわかりました。
彼はそーっと旧校舎に入ったんです。

旧校舎にはあまりいい噂がありませんでしたから、時田君は少しためらいました。
しかし、あの隕石のことがあったので、不安より期待の方が上回っていました。
彼は旧校舎に入ると、一番手前の教室を覗いたんです。

すると、小さな動物がいました。
銀色に輝くひよこのような生き物でした。
こんな鳥、地球にはいない。
そう考えると不気味なはずですが、時田君にはその姿が魅力的に見えたのです。
彼はそれを旧校舎で飼うことにしました。

そして彼は、この動物を使って映画を作ることを思い付いたんです。
同好会のメンバーにこのことを打ち明けると、みんなは同意しました。
そして、撮影に入りました。
内容は宇宙生物と、人間の高校生との友情のドラマでした。
撮影は順調にすすみました。

ある時、生物は繭をつくり、中に入ってしまいました。
「しょうがないな。
ここは編集でなんとかしよう。
この繭、いろいろなカットで撮っておこう」
そして、しばらくたちました。
彼等は毎日繭を撮り続けました。

あるとき、繭が割れたんです。

長いくちばし、頭から生えた触手、ぬらぬらと輝く瞳。
出てきた生き物の姿はグロテスクに変わり果てていました。
しかし彼等は、自分達になついていた生物が幼かった頃のことを思い出し、気をとりなおしました。
そして、彼等は撮影を再開したんです。

その日から、学校の生徒が一人、また一人と行方不明になっていったんです。

あるとき、夜の撮影が行われました。
いつものように繭がある場所に行くと、その生物はいませんでした。
時田君達は旧校舎を探しました。
そして彼等が二階の教室に行った時です。

生物はいました、そして何か食べていたんです。
赤いスティックのようなものを、カリカリかじっています。
しばらく口を動かしたあと、生物は何かを吐き出しました。

赤いさくら貝のようなそれは……人間の爪でした。
餌になっていたのは、時田君のとなりのクラスの生徒だったのです。

「う、わあああっ!!」
彼等は思わず逃げました。
生物が追いかけて来る音が聞こえます。
時田君は、大声で助けを求めながらがむしゃらに走りました。

旧校舎の外に出ると、美しい月明かりがあたりを照らしています。
うまく逃げることができた。
みんなは大丈夫だったろうか?
しかし、彼にはみんなを探しに行く勇気はありませんでした。
「け、警察に行こう……」

そして、振り向いたときです。

……あの生物がいたんですよ。
生物は、甘い声で鳴くと、触手を突き出してきました。
その触手は彼の体に食い込むと、中で何かを放出したんです。
体内で何かがはじけたような衝撃を受け、彼は気絶しました。

……次の日、時田君や映画研究会のメンバーは発見され、病院に運ばれたんです。
どうやら全員が、あの生物に襲われたようですね。
彼等は今でも入院していますよ。
えっ、生物ですか。
あの夜以来、行方不明です。

そして、学校の生徒も行方不明になることはなくなったんです。
時田君達が、なぜ食べられなかったのかはわかりません。
これはお見舞いに行った時に聞いた話なんですが、彼等は脳に腫瘍のようなものができているそうです。

なんか、その腫瘍は日に日に大きくなっているっていう話です。
いったい何なんですかね。
でも、元気にしているそうですよ。
食欲もあるようです。
まあ、僕はこれから彼らに何が起こるのか、見ていようと思っていますけれど。

僕の知っていることは、ここまでです。
次の方、お願いします。


〔攻略ページに戻る〕

TOPに戻る