1、猫をどこかに捨てた【PS追加END猫の餌に】 | ナノ
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そう、どこかに捨ててしまったんです。

武田さんが、いつも通り宿泊施設に行くと子猫はいませんでした。
「猫がいない……」
彼女は探しました。
学校の隅々まで探したんです。
しかし、子猫は見つかりませんでした。

それから何日かして、子猫が帰り道をあるいていたんです。
「どこに行っていたの、ずいぶん心配したのよ。学校にもどりましょうね」
彼女はまた学校に子猫を連れて行ったんです。

しかし、その途中、子猫を捨てた女の子達に見つかってしまいました。
「直子、見つけちゃったんだ」
「あ、あなた達が捨てたのね」
「そーよ。
でもね、学校で猫なんか飼ってたあんたがいけないんじゃないの」
「で、でも……」

「捨てられたくなかったら、もう学校で飼うことはよすのね」
「ふ、ふっふっふっ」
彼女達は笑いながら、その場を立ち去りました。

「どうしよう……」
武田さんはその場にしゃがみこんだんです。
あくる日、彼女は学校を休みました。
そして、次の日も、次の日も学校を休んだんです。

武田さんをいじめていた女の子達もさすがに心配になりました。
「たかが猫ぐらいで……」
そう思うことで、彼女たちはそのことを忘れようとしたんです。
しかし、彼女達は気付くべきでした。

武田さんが、猫を心の支えにしなければ生きていけないぐらい、追い詰められていたことを。
それから、しばらくしてからです。

「みなさん、残念な話ですが、武田さんが家を出ていなくなってしまいました。
心当たりがある人や、見かけた人がいたら、いつでもいいから先生に申しでて下さい。
お願いします」

担任の先生から、武田さんが家出をしたという報告があったんです。

いじめっ子たちは、休み時間、校舎の裏に集まりました。
「やばいよー」
「どうする、私たちが原因だってばれたら」
「大丈夫よ、ばれないよ」
結局、沈黙していることにしたのです。

その日、彼女たちは心細かったのか、一緒に帰宅しました。
「みんなより、先に見つけて脅かそうよ。
そうすれば、私達のせいだってばれないよ」
「そうねえ、でもどこにいるんだろう」
「講堂の上の宿泊施設に、戻っているんじゃないかな」

「そうか、あそこしかないよね。
あの子が行くとしたら」

彼女達は講堂の方に向かいました。
そして、彼女達が宿泊施設のドアを開けると。

「な、直子……」
武田さんがベッドに腰掛けていました。
「あんた、なんで家出したのよ。
あんたのせいで、私達が迷惑しているのよ」
「そうよ、さっさと家に戻りなさいよ」

そういって、責め、小突きました。
その時、猫の声がしたんです。

彼女達がそっちの方を見ると、恐ろしい雰囲気を漂わせた子猫が立っていました。
そして、二匹、三匹と、その数は増えていったんです。
「なによー、この猫?」
「彼女が飼っていたのは一匹じゃないの!」
彼女達は後退りしました。

そのとき、武田さんが口を開きました。
「私が家出してふらふらしていたら、あっちこっちに子猫が捨てられていたの。
でね、かわいそうだからみんなここに連れて来て、飼ってあげることにしたのよ」
武田さんが少しずつ彼女達の方へ歩み寄ってきます。

「かわいいでしょ」
彼女達は追い詰められて、もう冷静な判断はできませんでした。

「直子、あの猫、なんとかしなさいよ」
「そうよ、学校で飼えるわけないじゃない」
そういって、武田さんを責めたてました。
彼女達の中の一人が武田さんの服をつかもうとしたときです。

子猫たちが、一斉に彼女を襲ったんです。
猫が彼女の体中に噛みつきました。
そして、猫が離れると彼女は、血だらけで倒れたんです。
倒れた彼女の体からは、骨がむき出しになり、内臓がはみ出していました。

残った女の子達は悲鳴をあげました。
そして、逃げようとしましたが、足がすくみその場から動けずにいたんです。

彼女達がそこに立ちすくんでいると、猫達が周囲を取り囲んでいきました。

次の日、行方不明の女の子達の捜索が行われました。
宿泊施設の方へ行ったという目撃証言をもとに探しにいくと、そこには動物に食い散らかされたような死体があったんです。

一応、野良犬の仕業だろうということになったんですが、つじつまのあわないことばかりでした。
今でも、泊まった生徒が朝起きたら猫に引っ掻かれていたとか、猫の鳴き声がしたとかいっていますよ。

僕も合宿のとき、朝起きて見ると猫の引っ掻き傷があったんで、その日でサッカー部をやめました。
噂は本当だと確信しましたよ。
え、武田さんですか。
去年、卒業しました。
今の話はあくまで噂ですからね。

でも、今でも武田さんが宿泊施設に時々来ているそうですよ。
そして、猫の鳴き声が夜の学校に響くそうです。
また、誰かが猫の餌になっているのかもしれませんね。
僕の話はこれで終わりです。
次の方、どうぞ。


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