1、いいわよ &1、貸さない【PS追加END岡崎さんと兄が邪魔】 | ナノ
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『1、いいわよ』



「いいわよ」
岡崎さんはうなずいたわ。



『1、貸さない』



「そうか……」
藤臣君は、ガックリと肩を落としたわ。
岡崎さんは、さすがにかわいそうになったのね。
「じゃあ、少しだけならつき合うわ……」
そう、いってしまったの。
藤臣君は喜んだわ。

その無邪気な表情を見て、岡崎さんはホッとしたの。
怖いなんて思ったりして、悪かったな……ってね。



※以下同文※



そして、その日の放課後、二人は学校の近くの大通りに行ったの。
藤臣君は、彼女の手を引いて、歩道橋に登っていったわ。
岡崎さんは、彼の行動がわからなくて不安だった。
「何をする気なの?」
すると、藤臣君は嬉しそうにいうじゃない。

「もうすぐ、この道を僕の兄が通る。
僕の願いは彼の死さ」
岡崎さんは耳を疑ったわ。
だって、自分のお兄さんを殺そうなんて、まともな人間の考えることじゃない。
でも、藤臣君の表情は真剣だった。

口出しできない雰囲気だったのよ。
岡崎さんが迷っていると、藤臣君が目を輝かせたの。
「来たっ!」
見ると、向こうから赤いオープンカーが走ってきたの。
藤臣君は、ルーベライズを持った手を高く掲げたわ。
「兄さんに死を!」

それを聞いて、岡崎さんの身体は、勝手に動き出したの。
歩道橋の手すりに登って、車道を見下ろす。
自分で、自分のしていることが信じられなかったわ。
勝手に身体が動くなんて……。
震える岡崎さんの背後から、藤臣君が声をかけた。

「僕の本当の願いはね、自分の手を汚すことなく、兄さんに死んでもらうことなのさ。
君はここから飛び降りる。
兄さんは、巻き添えを食って死ぬんだ。
それじゃあ、さよなら岡崎さん」
……まるで、また明日っていっているような口調だった。

そして、それが合図だったように、岡崎さんは飛び降りたのよ。

……岡崎さんの身体は、赤い車に直撃したわ。
運転手は、そのショックでハンドルを切り間違えて、ガードレールに突っ込んだの。
そこに、ちょうど集団下校中の小学生たちがいてね。
大惨事になったそうよ。
ほら、学校に来る途中に、横断歩道があるでしょう。

あれは、そのときに歩道橋が取り壊されて、代わりにできたものなのよ。
また自殺しようなんて生徒が出ないようにね。
……そうなのよ。

岡崎さんは、発作的に自殺したのだと診断されたわ。
いっしょにいた藤臣君は、何も疑われなかった。
これも、ルーベライズの威力なのかしらね。
そうそう、岡崎さんの死因だけど。
色々な噂があるみたいね。

事故だったとか、殺されたとかいう話もあるみたい。
まあ、しょせん噂は噂でしかないわ。
警察は、岡崎さんの死を自殺だといった。
藤臣君は罪に問われなかった。
それだけが真実よ。
藤臣君のその後?

お兄さんもいなくなったことだし、財閥の跡継ぎになったんじゃないのかしら。
不公平だといっても、仕方ないわ。
ルーベライズは、善悪の判断なんかつかないんですもの。
ただ、願いを叶えただけよ。
そうでしょう?

……話を、大川さんに戻しましょうか。
「すみませーん、宅配便です!」
ドアの向こうから、若い男の声が聞こえたわ。

大川さんは、恐る恐る玄関の方に進んだの。
(ルーベライズが届いたんだわ。
どうしよう、呪われているなんて、きっと間違いよね……)
そう思っても、嫌な予感がしてならなかった。
「いないんですか?
あのー、すみませーん……!」

大川さんは、震える手でドアを開けたの。
「あ、どうも。 お届けものです」
小さな荷物。
それは、確かにルーベライズだったの。
大川さんがその後どうなったか、わかるかしら。
ルーベライズは、確かに呪われた石だったのよ。
殺された岡崎さんと一緒に、長い間お墓の中に閉じ込められていたんだもの。

彼女から、たくさんの恨み言を聞いていたはずよ。
たとえば……そうね。

「復讐してやる」
とか、
「殺してやる」
とか……。
あの石は、岡崎さんのいろんな気持ちを吸い込んでいたのよ。
そして、お墓から出たのと同時に、その怨念を発散させたの。

大川さんは、翌日部屋で死んでいたそうよ。
原因は不明ですって。
体は傷ついてなかったそうだし、もともと具合が悪かったわけでもないということだし。

……今、そのルーベライズがどこにあるかですって?
大川さんのお墓に入れられたって聞いたわよ。

なんでも彼女、ルーベライズをかたく握ったまま死んでいたんですって。
だから、一緒にお墓に入れられたの。
そうそう、藤臣君ってね、まだ生きているのよ。
駄目よね、岡崎さんも。

一番最初に呪うべき相手を、そのままにしておくなんて。
くやしいって思いで一杯になってて、そういう区別がつかなくなってるのかしら。
……まあいいわ。
私には関係ないことだから。

ところで、この話、学校の新聞に載るのよね。
読んだ人が、大川さんのお墓に入っているルーベライズを、手に入れようなんて思わなければいいわね。
うふふ……。
私の話はこれで終わりよ。
……それにしても、七人目はずいぶん遅いわね。

どうするの、倉田さん?
そろそろ帰りましょうよ……。

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