岩下さんは、微笑みながら私を見ている。
私は心の中で念じた。
どうか、天才になれますように……！
……一瞬、ルーベライズが光ったような気がした。
何だか、血のめぐりがよくなったような？
ドクンと頭の中で音がした。
血管が脈打っているのがわかる。
何だか息苦しい。
あえぐ私の手から、ルーベライズが落ちた。
岩下さんが拾い上げる。
「まあ、顔が真っ赤よ」
楽しそうな顔で、岩下さんがいった。
「まるで、血液がものすごい勢いで、頭にのぼっているみたい」
私に答える余裕はなかった。
頭痛がして、目の前が赤くにじんできたから。
頭を抱え込み、うずくまる。
まさか、まさか…………。
私の脳は、『天才』になるために、急激に成長しているの？
でも、そんなことが……。
不意にプツンと、耳元で音がした。
それっきり、変化に耐えきれなかった私の意識は、真っ暗になって消えた。
ルーベライズの放つ光が、虚ろな私の目に映っていた……。
そしてすべてが終わった…
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