岩下さんは、微笑みながら私を見ている。
私は心の中で念じた。
どうか、お金持ちになれますように……!
突然、ドアが開いた。
青ざめた顔の先生が立っている。
先生は私の前まで来ると、肩に手を置いた。
「倉田……いいか、落ち着いて聞くんだ。
君の家で、ガス爆発があった。
家族の方は、全員即死らしい。
早く帰宅するように、いいね」
…………ええっ?
私は、何をいわれたのか、わからなかった。
ガス爆発?
全員即死?
……私の家族が?
気づくと、先生は部屋から出て行くところだった。
私のためにタクシーを呼ぶとか、なんとかいっていた。
それでもまだ、私は馬鹿みたいに立ち尽くしていた。
手からルーベライズが落ちて、転がった。
それを、誰かの手が拾い上げる。
……岩下さんだわ。
「うふふ……ほら、また輝きを増したわ。
ルーベライズはね、人の願いをかなえて、その代わりに不幸を呼ぶの。
一つ不幸を招くごとに、どんどん美しい石になるのよ」
私の願い……?
その時、私にはわかった。
ああ……………そうだったのね。
岩下さんの笑顔がゆがむ。
もう、立っていられない。
床に倒れ込みながら、私は願いがかなって、金持ちになれることに気づいた。
そう……近々もらえるはずの、家族の保険金によって。
そしてすべてが終わった…
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