『1、岩下の好きにさせる』
「そこまでいうのなら仕方ありませんね。
いいでしょう。
岩下さんのお好きなようにして下さい」
「ありがとう、そうするわ」
岩下さんはドアに向かうと、深呼吸を一回してからノブへ腕を伸ばした。
しかし、彼女の手が触れるよりも一瞬早く、ドアのノブがカチャリと音をたてた。
みんなの見ている前で、ひとりでにドアが開いた。
『3、絶対に、誰にもドアを開けさせない』
「絶対に駄目です!
いいですか、誰もドアに触らないで下さい」
私は、ドアの前に立ちはだかるとみんなを威嚇するように叫んだ。
すると……。
ガチャリと音をたててドアのノブが回り、ひとりでにドアが開いた。
※以下同文※
ドアの向こうに誰が……!?
みんなの視線が集中する。
しかし、廊下には誰もいなかった。
「なんだ、何もないよ」
「じゃあ、さっきのノックは?
それに、今、誰がドアを開けたの?」
「たちの悪い悪戯じゃねえのか?」
ほとんどのメンバーが、一気に気が抜けたといった感じで席に戻った。
岩下さんは、一人ぼんやりと立ち尽くしたままだ。
「ねえ、倉田さん。
見て下さいよ……」
ふいにメンバーの男の子が声をかけてきた。
彼は廊下にしゃがみ込んで、じっと床を見つめてる。
そして、その所々を差しながら……。
「ほら、ここ……。
濡れてるんですよ。
……ここも」
彼の指差す方を追っていくと、確かに小さな水溜まりのような跡が点々と続いている。
「……足跡のようですね」
彼は独り言のように呟いた。
その言葉に、ピクリと反応したのは岩下さんだった。
「佑也さんが来ていたのよ!
せっかく、戻って来てくれたのに……。
倉田さんが意地悪をするから……。
覚えてなさいよ。
絶対に許さないわ。
あんたにも、私と同じ哀しみを味あわせてやるから!」
「岩下さん……」
「ふふ、もう話すことなんてないわ。
さっさと次に行ったら?」
岩下さんはプイッとそっぽを向いて、さっさと自分の席に戻ってしまった。
最後まで廊下を調べていた男の子も、いつのまにか席に着いている。
なんだかいたたまれない気持ちのまま、私はドアを閉めた。
次は六話目……。
誰に話してもらおうか……。
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