「あの……。
どなたか見ていただけませんか……?」
「わかった、僕が行くよ」
そういって、窓側の席にいた男の子が立ち上がった。
窓を開けて下を覗き込んだ男の子は……。
「いる!」
ひときわ大きな声で叫んだ。
「ええっ!?」
一斉に全員が立ち上がって窓に駆け寄った。
「本当だ……!!」
ちょうど窓の真下に、うつぶせになって男の子が倒れてる。
不自然に折れ曲がった手足が、暗がりの中に白く浮き上がって見える。
「大変だ!
人が飛び降りたぞ!」
男の子の周りには、すぐに人が集まってきた。
すぐに、救急車のサイレンも聞こえてくるんだろうな……。
そんなことを考えていると……。
「私のせいね……」
窓の下を見つめながら、そう呟いたのは岩下さんだった。
彼女の目には、深い悲しみと冷めた光が入り交じっている。
「ねえ、みんな席に着いて。
話を続けるから……」
岩下さんの言葉に促されて、私たちは窓を離れ、席へ戻った。
「私に近づく人は、みんな不幸な目に逢うの」
岩下さんは、ポツリポツリと話し始めた。
……あそこに倒れていたのは、間違いなく吉野君よ。
私、彼からラブレターをもらったことがあるの。
ええ、もちろん断ったわ。
私には恋人がいますから……って。
それが、今日の昼休みのことよ。
でも、吉野君は中々あきらめてくれなかった。
「嫌だ!
君には恋人なんていないはずだ!!」
……って、言い張って……。
その時……。
私の背後で、何かがユラリと動いたような気がしたわ。
ああ、佑也さんが怒ってるんだ……。
そう思った。
だから、私、吉野君のことを冷たく突き放したの。
「あんたなんか大っ嫌いよ!」
って……。
そうすれば、彼に危害を与えずにすむと思ったの。
私に近づく人、
私に危害を加える人は、みんな不吉な事故に遭ってるんだもの。
彼を冷たくあしらえば、佑也さんの怒りも治まると思ったのよ。
……でも、甘かったみたいね。
吉野君は死んでしまったわ。
佑也さんの怒りのせいなのか……。
失恋のショックでの自殺なのか……。
これでまた、私の周りで不幸な人が出たことになるのね。
うふふふ……。
倉田さん……。
あなたも、危ないのかもしれないわよ。
私に関わってると危険な目に遭うんだから。
とうとう死人まで出てしまったし……。
お願いだから、佑也さんを怒らせないでね。
私の後ろにいる最愛の人を……。
気をつけてね。
私を怒らせたり、困らせたりしないように……。
七話目が終わるまで、みんな無事に生きていられるといいわね。
じゃあ、これで話を終わるわ……。
……次は誰の番?
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