1、知りたい【END真相】 | ナノ
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そう……。
結構えげつない話よ。
こんなことまで記事にしていいかどうか、私は判断しかねるけど。

尚くんは、学年主任がうちのクラスに注意しに来た時、何か怪しいって思ったそうよ。
それで、いろいろ調べたんですって。
今から話すことは、彼の推理もまじっているわよ。

学年主任には、結婚したかった女性がいたの。
彼女には子供がいて、その子を一人で育てていたのよ。
父親はその時いなかったわ。
どういう事情があったのかは知らないけどね。
彼女はとにかく、学年主任との結婚をしぶっていたのよ。

きっと、子供に気を使っているんだ。
学年主任はそう思ったの。
子供が邪魔だ。
いっそ、いなくなればいい。
そうも思った。

それで、彼女の子供をこっそり殺してしまったってわけ。
子供を呼び出すのは簡単だったわ。
自分が勤めてる学校は広いから、遊びに連れて行ってやるっていったの。
もちろん、母親には内緒でことを運んだわ。

そして、旧校舎に連れていって、殺してしまったのよ。

子供がいなくなって、うちひしがれた彼女に、学年主任は甘い言葉をささやいた。
何でも相談してくれとか、僕が支えになるとか、都合のいいことをいい続けたの。
……そんな日々があって、彼女はついに学年主任と結婚してしまったのよ。

殺された子供の霊は、ママを捜していたでしょ。
ママは、自分を殺した男と結婚していたの。
そんなこと、尚くんにはとてもいえなかったというわけ。

……この話を聞いているうちに、私達は旧校舎の方にある裏庭にたどり着いたの。
あそこって、木や草があまり手入れされていないから、山の中みたいよね。
その裏庭の奥のほうで、子供の霊はしゃがみこんだの。

そして、しばらくママー、ママーって泣いてたかと思うと、疲れたように眠っちゃったのよ。

「……きっと、ここに死体が埋まっているんだ。
ねえ岩下さん、この子のことを、母親に教えるべきだと思う?」

尚くんがそう聞いてきたわ。

倉田さん、あなただったら何て答える?


1、教えるべき
2、教えないほうがいい
3、わからない


『1、教えるべき』



そう……。
私にはわからないわ。

教えるべきかどうかなんて知らない。
何が正しいなんていえないの。
ただ、私は教えるつもりなんてなかった。
だってめんどうじゃない。
教えてあげる筋合いもないし。

黙っていたら、尚くんはいったわ。



『2、教えないほうがいい』



あら。
あなたも尚くんと同じことをいうのね。

彼はいったわ。



『3、わからない』



そう……。
私にもわからなかったの。

教えるべきかどうかなんて知らない。
何が正しいなんていえないの。
ただ、私は教えるつもりなんてなかった。
だってめんどうじゃない。
教えてあげる筋合いもないし。

黙っていたら、尚くんはいったわ。



※以下同文※



「このことは、秘密にしておかないか」
ってね。
「学年主任が子供を殺したってことも、いわないでおこうよ。
だって、母親がかわいそうだろ?
子供は殺されて、旦那が犯罪者なんて……」
もちろん、反対する理由はないわよね。

いいわよって返事しようとしたら、彼はこんなことをいいだしたの。

「……それから……さっき旧校舎でいいかけたことだけど」
「え?」

「実は僕、岩下さんのことが前から気になっていたんだ」
「どういうことかしら」
「その……よかったら、付き合ってほしいなって」
……冗談じゃないわ。
こっちは、彼のことをうるさく思っていたのよ。
目障りといってもいいわね。

私、すぐに話題を変えたの。
ちょっと気になったことを聞いてみたわ。
「そういえば、学年主任が変なことをいっていたわよね。
行方不明になった生徒を骨折させたのが、尚くんだとか……」

尚くんは、そんなの違うっていったわ。
学年主任が、自分達に脅しをかけるためにやったんだろうっていうの。
でも、変よね。
学年主任は、本気で知らないようだったもの。
考えられる犯人は、あと……。

ふと見ると、尚くんの背後に、子供の霊が寄って来ていたわ。

その霊は、彼の腕に手をかけると、ゴキッと鈍い音を鳴らしたの。

「ぎゃあああ!!」
尚くんが悲鳴をあげたわ。
地面に膝をついて、腕を押さえて苦しんでいるの。
「助けて、岩下さ……助け……!」

続いて、また骨が折れる音。
今度は足ね。
その姿は、行方不明になった生徒の骨折とよく似ていたわ。
私、わかったの。
行方不明になった生徒が骨折したのは、面白半分で子供が死んだ場所を探索したから。

尚くんが骨折したのは、おそらく子供のことを母親に隠しておこうっていったから……。

子供の霊は尚くんの手足を一通り折ると、私の方を向いたの。 
「おねえちゃん」
無邪気な声だった。
「ママはどこ?」
私は、一呼吸して答えたの。
「……知らないわ」
「…………」

子供は、とぼとぼとどこかに歩いていったの。
……その現場を、日野さんが見ていたのよ。
事情を話したら、そのうちネタにさせてくれっていわれたの。
尚くんはすぐに転校しちゃったわ。

たぶん子供の霊が怖かったんじゃないかしら。

結局、学年主任は原因不明の自殺ということになったの。
尚くんも私も、警察に事情を説明しなかったから。
説明しようとしても、信じてもらえないでしょうね。
え、子供の母親?
さあ……どうなったかは知らないわ。

あの子供は、今でも母親を捜しながら、この学校にいるけどね。
時々、旧校舎のあたりをふらふら歩いているわよ。
昔の名簿を調べて、学年主任の奥さんのことを調べてあげればいいんでしょうけど。
私はそこまでする気がないの。

あまり首を突っ込みたくないからね。

……それにしても気分が悪いわ。
この部屋、何かいるんじゃないの?
子供の霊? それとも……。

まあいいわ、何がいても、呪われるのはこの集まりの責任者でしょうから。
倉田さん、ご愁傷様。

さあ、私の話はこれで終わりよ。
次は誰の番なの?


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