1、じゃあ、先に戻ってます 【ゲームオーバー・もう一台】 | ナノ
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「じゃあ、先に戻ってます。
……早く戻ってきて下さいね」
「ええ……。
わかってるわ、大丈夫よ」

そういって、岩下さんは廊下の奥の暗がりへ姿を消した。
「それじゃあ皆さん、部室に戻りましょうか」
私たちは、岩下さんを残したまま旧校舎を後にした。

……曇ってるせいもあって、外はかなり薄暗い。
私たちは、誰からともなく立ち止まって旧校舎を振り返ってた……。
いよいよ取り壊されることになった旧校舎。

明るい昼間でさえ不気味な場所なのに、こんな夕暮れ時に、岩下さんは一人であの中にいる……。
「なあ……。
あんな所に、女の子が一人でいるなんて危険じゃねぇか?」
誰かがポツリと呟く……。
「泥棒なんかが忍び込むには、絶好の場所ですからね」

「何年か前、脱走犯が体育倉庫に潜んでて、知らずに中に入った生徒が殺されたていう事件があったよね。
あれは、どこの学校だったかなぁ……」

……うーん。
そんなこといわれると、なんだか心配になってくる。
岩下さんが、危険な目に遭ってたらどうしよう……。
……旧校舎へ引き返そうか?
そう思った瞬間……。

「きゃーーーーーっ!!」
凄まじい悲鳴が上がった。
「まさか……!!」
みんなが一斉に走り出す。
声の聞こえた旧校舎へ……。

「ひっ……!!」

旧校舎に駆け込んだ私たちの目に映ったのは、薄暗い廊下を遠ざかって行く荷車と、軍服を着た兵隊の姿。
でも、その兵隊も荷車も、すぐに闇の中に見えなくなってしまった……。

……岩下さんは?
岩下さんはどこにいるの!?
「おい、見ろよこれ。
……血だぜ」

……本当だ。
廊下には、点々と血が落ちてる。
ちょうど兵隊の消えた暗がりに向かって……。
もしかして、岩下さんの……!?
あの荷車で誰かが運ばれていたとしたら、それは……!!
「彼女……死んじゃったの?」

ふいにメンバーの一人が呟いた。
その言葉がきっかけになったのか、サーッとみんなの間に緊張が走る。
「きっと、そうだよ。
一瞬だったけで、みんなも兵隊の霊を見ただろう?
あれは、彼女の話に出てきた兵隊の霊に間違いない!
彼女は兵隊の霊に殺されたんだ!」
「ぼ……、僕のせいじゃないよ」
「僕だって知らないよ。
彼女を残して戻ろうっていった人が悪いんだ!」
……そんな!
全部、私のせいだっていうの……!?

「とにかく先生を呼んで来よう」
……あっ、みんな待って!
私を置いて行かないで……!!
ひどい……。
女の子一人で残るのは危険だ!
……なんていってたくせに。

ゴロン……。
背後で鈍い音が響いた。

振り返ると、そこには青白い顔をした岩下さんが……。
岩下さんは、口許から真っ赤な血を滴らせながら不気味に微笑んでる。
そして……短く呟いた。
「もう一台あるのよ……」


そして全てが終わった…

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