1、得意【END得意な人を】 | ナノ
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得意なの?
そう……。
そこまではっきり言い切るなんて、かなり自信があるようね。
でも、ちょっと意外だったわ。
数学が得意だったなんて……。
人は外見で判断できないわね。

……あら、ごめんなさい。
別に、けなしてるわけじゃないの。
素直に感心してるだけよ。
でも、そう……。
数学が得意なの。
うふふふ……。
その時に貼ってあった答案はね、間違いだらけで、ひどい点数だったそうよ。

答案に書かれていた名前は、江藤昭子。

地味で、おとなしくて、クラス でもあまり目立つ存在ではなかった。
その江藤さんの答案が、なぜ掲示板に貼られてたのか……。
……さっきもいったと思うけど……。
……たぶん、ちょっとした悪戯だったのよ。
まだ、純真な高校生が多かった頃ですもの。
いじめなんて、そうそうなかったんじゃないかしら。
でもね……。

江藤さんの身になって考えると、やっぱり辛かったと思うわ。
みんなが自分の答案に注目してるのよ。
とても誉められるような点数じゃないのに……。

恥ずかしくて、悲しくて、悔しくて…………。
私だったら、とてもじゃないけど耐えられないわ。
絶対に犯人を捕まえて復讐してやる!
……あら、ごめんなさい。
江藤さんの話だったわね。

彼女は掲示板から答案を引き剥がすと、そのまま駆け出して行ってしまったの。
それっきり、学校には姿を見せなかったそうよ。

ずっと家に閉じこもってたようね。
そして一週間が過ぎた時……。

校庭の花壇の脇で、頭から血を流した江藤さんの死体が発見されたの。
屋上から飛び降りたのよ。
あの掲示板に、最後のメッセージを残して……ね。
遺言……?
そう呼んでもいいのかしら。

例の彼女の答案用紙の裏に、
『くやしい……』
って、真っ赤な文字が並んでいたそうよ。
血文字じゃないかっていう噂もあったわ。
すぐに片付けられてしまったから、真相は謎のまま……。
でもね……。

この時から、掲示板に不気味なメッセージが貼られるようになったの。
『くやしい……』
『なんで私だけがこんな目に遭うの』
『くやしいわ……』
どのメッセージも、江藤さんの遺書と同じ赤い文字なんですって。

誰かの悪戯なのかもしれないけど……。
不思議なことに、このメッセージが貼ってある日は、必ず死者が出るのよ。
もちろん今でも続いてるわ。

あなたは入学したばかりだから知らないでしょうけど、この学校からは、毎年、異常な数の死者が出てるのよ。
事故、事件、自殺……。
どれも、不吉な死に方よね。

実は、私……。
ここへ来る前に、掲示板を見に行ったのよ。
ふふ、掲示板の前を通る時は、必ず見るようにしてるの。
何か貼ってあるんじゃないかって期待して……。
まだ見つけたことはないわ。
残念ながら、今日も、それらしい物は見当たらなかった。

ふふふ……。
気を付けてね、倉田さん。
江藤さんの呪いで亡くなった人って、数学の得意な人ばかりなの。
きっと、数学が得意な人が妬ましいのね。
次にメッセージが貼り出された時、命を落とすのは、あなたかもしれないわよ。

怖い……?
なら、よかったわ。
今日は七不思議の会なんでしょう?
身を持って恐怖を体験した方が、いい記事を書けるものね。

うふふ……。
私の話はこれで終わりよ。
次の話が楽しみね。


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