2、そのまま様子を見る(新堂さん) | ナノ
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私は、しばらく様子を見ることにした。
さすがに、倒れてる荒井さんを放っておくことはできない。
さいわい荒井さんは怪我一つしておらず、すぐにむっくりと起き上がった。

「うーん……」
彼が、腰や足をさすりながら顔を上げると……。
……いけない!
バッチリ目が合ってしまった。

その瞬間、荒井さんは途端に目を輝かせて、
「倉田さん……。
よかった、僕はあなたを待っていたんですよ」
……と、詰め寄って来た。
「倉田さん……。
僕たちの話が記事にならないって本当なんですか?

さっき、日野さんが誰かと話しているのを聞いてしまったんです。
そんなの嘘ですよね!?」
荒井さんの目は異様に血走り、ギラギラと怪しい光を放ってる。
何かに憑かれた人の顔って、こういう状態なのかしら?

身体は恐怖ですくんでるのに、私の頭はそんなことをぼんやりと考えていた。
だけど……。
「倉田さん!」
……って、荒井さんに腕をつかまれた瞬間に、そんな考えはどこかへ行ってしまった。

うっ、痛い……!
痛いわ……!!
荒井さんの指が、皮膚に食い込んでくる。
爪が刺さってるのか、薄っすらと血まで滲んでる……。
なんて力なのかしら……?
……両腕が痺れてくる。
あまりの激痛に涙も出ない。

身体中がバラバラになりそう……!!
なんで私がこんな目に……!?

そう思ったら、なんだか腹が立ってきちゃった。
「いーかげんに、手を離しなさいよ!!」
そう叫ぶと同時に、私は渾身の力を込めて荒井さんを突き飛ばしていたわ。

荒井さんは、ヨロヨロと後ろにのけぞったかと思うと、また廊下の上に倒れちゃった。
私にこんな力があったなんて……。
怒りで人間が変わるって、本当だったのね。

……と、いけない。
こんなところを人に見られたら大変だわ。
そう思った瞬間、私は弾かれたように立ち上がって、その場から逃げ出していた。
「ああ、倉田さん!
待って下さい!
嘘だといって下さいよー!!」

……ごめんなさい。
その話は本当なんです……。
ごめんなさい……!
私は、心の中で謝りながら必死に逃げ場を探してた。
どこか……。
一人になれる場所はなかった?
どこか…………。

……と、その時!
「おい、倉田!」
また、私を呼び止める声がしたの。

荒井さんの声じゃない……。


1、振り返る
2、そのまま逃げる



『1、振り返る』



今度は誰……?



『2、そのまま逃げる』



私は、その声には気づかなかったフリをして、そのまま逃げようとした。
これ以上、面倒なことに関わるのはごめんだもの。
でも……。
「おい、倉田。
ちょっと待てよ!」

呼び止める声と同時に、ニュッと手が伸びてきて私の肩をしっかりとつかんだ。
……もう!
いったい誰なの!?



※以下同文※



おそるおそる振り返る。

……と、私の目の前に映ったのは新堂さんだった。
「どうしたんだ、そんなに急いで……。

まさか、倉田!
……お前も例の噂を聞いたのか!?」
「例の噂……?」

「なんだ、まだ聞いてなかったのか。
あいかわらず情報にうとい奴だな。
お前がそんな調子だから、せっかく取材した記事がボツになったりするんだぞ」
…………ドキッ!
もうバレてるのね。

「実はな
さっき、俺のところに新聞部な一年だっていう奴が来て、全部喋って行ったぜ」
「ええっ!」
……誰!?
いったい誰がそんなこといったの!!

「それでもう一度、会を開くから、ぜひ参加してくれって頼まれたんだが……」
……それって、もう一回取材をやり直すってこと?
私、そんな話聞いてない。
もう、私は関係ないってことなの……!?
「それで……。
OKしたんですか?」

「いや……。
まだ返事はしていない。
そいつ、一方的に喋って行っちまったんだ。
なんて奴だったか……。
そうそう、サカガミっていってたよ。
お前、同じ新聞部なんだから知ってるだろ?
そそっかしい奴だよな」

……サカガミ?
そんな人、新聞部にいたかしら?
どこかで聞いた名前だけど……誰だったっけ?
その人が新堂さんに声をかけてきたってことは、そのサカガミって人が取材をするのかしら?

「せっかくの招待だが、俺は行くつもりはないぜ。
これ以上、危険な真似はしたくないからな。
七不思議なんてうんざりだ。
それで、断ろうと思って捜してるんだか、まったく見つからないんだ。
倉田……。
お前、同じ新聞部だろ?

サカガミを見掛けたら、俺がそういってたって伝えてくれよ」
「えっ、新堂さん?」
「じゃあな、頼んだぞ」

そういって、新堂さんは私の肩をポンポンと叩いて去っていった。
……サカガミなんて人。
私、知らないのに……。
新堂さんだって、ずいぶんそそっかしいと思うな……。

……とにかく、そのサカガミ君って人を捜してみようか。


1、そうしよう
(風間さん)

2、やっぱりやめておこう
(細田さん)