6、福沢玲子【PS追加END多数決だった】 | ナノ
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……誰もが犯人に思える。
……けれど、確実な証拠はない。
僕は、この中から犠牲者を一人出さなければいけない。
どのみち、ここで一人を指名しなければ、みんなが殺されてしまうかもしれない。
そして、僕は決めた。

……福沢さんだ。
彼女は、岩下さんのことをものすごく恨んでいる。
そんな岩下さんのことで、彼を恨むこともあったろう。
愛していたからよけいに……。
……そうだ、福沢さんが神田さんを殺したかもしれない。

僕は、彼女を選んでしまったということを自分の中で正当化しようとしていた。

(福……)
僕が頭の中で答えるよりも早く、神田さんの返事が返って来た。
(……わかった、坂上修一だな)

え!?
今、なんていった?
(ちょっと待ってくれ、そうじゃないんだ……)
しかし、もう神田さんの声は僕の頭に聞こえてくることはなかった。

そして、神田さんが、ぎこちない歩きで部室内に侵入してきた。
このままだと、本当に僕の命が危ない。
みんなは目を閉じて、一生懸命祈っているようだ。

そんな中で、僕は一人、考えていた。
いったい誰が、僕を指名したんだろう……?

神田さんの声が、僕にしか聞こえていないなんて、僕の思い上がりだったんだ。
……何だろう?
今、福沢さんが僕を見たような気がする。
福沢さんだけじゃない。
みんながチラッチラッと僕を見ては、すまなそうな顔をする。

なんだか、僕に向かって祈ってるみたいだ。
…………!!
まさか!
みんなが僕を指名したというのか!?

(その通りだ、お前はそうとうな嫌われ者のようだな)
神田さんの声が、僕の頭で響く。
そんな!
僕は、隣にいる元木さんを見た。

僕と目が合うと、元木さんは、
「大丈夫、私がついてるわ。
心配しないで」
と、微笑んだ。

そんなこといわれても、僕の後ろにはもう神田さんが立っている。
そんなことぐらい、見なくてもわかるさ。
……背後から、彼の気配が伝わってくる。
冷たくて、ねっとりとまとわりつくような嫌な気配が……。
ひっ!

今、ひんやりとした物が、僕の首筋に触れた。
神田さんの手のようだ。
こうなったら、元木さんの言葉を信じるしかない。
彼女だけが、僕を助けられるのだろうから……。

「そうよ、坂上君。
私は、あなたを助けるためにここへ来たんだから」
ぐっ……!

僕の首に置かれた神田さんの手に、力が込められる。
しかし、元木さんは、微笑みながら僕を見つめるだけだ。
は……早く、助け……。
「まだよ。
まず坂上君が犠牲になって、
ここにいるみんなを助けなきゃいけないの」
うぐっ……!!

神田さんの爪が、指が、喉に食い込んでいく……。
だめだ、頭がぼーっとしてきた。
「大丈夫、死んだりさせないから。
ずーーーーーーーっと一緒だよ」
ブチッブチッと、血管だか神経だかが切れる音がする。

不思議と痛みはない。
「坂上君、おじいちゃんやおばあちゃんたちと仲良くしてね」
元木さんは、本当に嬉しそうだ。

その口もとには、たくさんの人の顔がうごめいている。
彼女は、僕にあの中の一人になれというのだろうか……?
助けるって、そういう意味だったのか……。

確かに、僕と元木さんは一緒になった。
でも、こんなの結婚とはいえないよ。
(これで救われる……)
最後に聞こえた神田さんの声が、ひどく羨ましく思えた。
僕は、本当に救われるんだろうか……?

元木さんの口の中で…………。

(旧校舎END)

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