2、何もなかった 【PS追加END次は自分の番】 | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
そこには何もなかったの。
しかもあれだけ引っ張られていたのが、ぱったりと止まったのよ。
夢……?

だけど、林さんの足首にはくっきりと、人の手の跡が残ってた。
それを見た林さんは、急いでプールから上がると、あわてて着替えて帰ってしまったの。
途中、部員達とすれ違ったんだけど、彼女は何も言わず逃げるように行ってしまったそうよ。

その翌日には水泳部の方に、退部届けが出されたとか。
いったい何があったんだろうって、皆、不思議がったわ。
いくらスランプだったからって、林さんは、瀬戸さんの分まで頑張らなきゃって張り切ってたからね。

そのうえ林さんは、水泳部を辞めただけでなく、体育の授業も水泳の時間だけ休むようになったの。
彼女も瀬戸さんと同じように、水の中が大好きで、放っておくと何時間でもプールから上がらなかったのに……。

まるでプールを怖がって、一生懸命遠ざけようとしているみたいだった。
そうして、林さんのプール嫌いがすっかり周りに定着した頃……。

林さんがね、水死体で発見されたの。
学校のプールでよ。
水泳部の部員達が朝練に来た時には、四コースにセーラー服姿の林さんが浮かんでいたんだって。
あんなにさけてた場所に、なんで彼女は行ったりしたんだろうね。

そもそも、なんでさけるようになったのか……。

これはね、うちのお姉さんから聞いたんだけど、瀬戸さんも以前に林さんと同じような体験をしていたらしいよ。
一人で泳いでる時に、何かに足を引っ張られたんだって。
足首の手の跡も見せてもらったらしいよ。
その時は、林さんも一緒にいたみたい。

そのすぐ後に瀬戸さんが死んじゃったじゃない?
林さん、次は自分の番だって直感したんじゃないかな。
それで水泳部を辞めてプールをさけていたんだよ。
でも、やっぱり死からは逃げられなかったね。
水の中から引っ張るものって、いったい何なのかなぁ。

スポーツの世界もけっこうシビアだから。
とっても健全なもののように思われがちだけど、ドロドロした面だってちゃんとあるんだよ。
よくはわからないけど……。
そのドロドロした人の欲望が、あのプールの四コースに潜んでるんだよ。

透明な水に見えても、実際は沼の底よりも汚くて恐ろしい水なんだから。
これって、別にプールじゃなくても言える事だよね。
体育館でも、グラウンドでもどこにでも隠れてるんだよ。

うふふふ、これからは体育の時間が楽しくなりそう。
恵美ちゃんのクラス、ちょうど明日は水泳じゃない。
絶対休んだりしちゃだめだよ。
……なんてね。

さあ、私の話はここまで。
七人目はどうしたのかなぁ?
来ない時は次の人が最後だね。

〔攻略ページに戻る〕

TOPに戻る