もう、うるさいなあ……。
待つのが嫌なら、自分で開けて入ってくればいいのよ。
すると……。
「開けた方がいいよ」
メンバーの一人がポツリと呟いた。
「君は最後に来たから知らないのも当然だけど……。
あの人、最初に来た時も、ああやってドアを開けてもらうまで、部屋に入ろうとしなかったんだ」
………………はぁ。
「恵美ちゃーん、聞こえてるのー?
早くドアを開けてくれよー!!」
また風間さんが呼んでるわ。
その声とノックの音に反応するように、カタカタと机が揺れ始めた。
続いて床が大きく歪み、ドアや壁を叩く音が響く。
地震!?
違う!
これは、ノックの音よ。
「早く!
早くドアを開けるんだ!!」
私は転びそうになりながら、ドアへ走った。
そして、大きくドアを開く。
すると……?
あんなにひどかった揺れがピタリと治まった。
ドアの外には、風間さんがムッとした表情で突っ立ってる。
「まったく、この僕を待たせるなんて、君もいい度胸だね」
そういいながら、風間さんはさっさと自分の席に座った。
「君、進行役だろ?
早く次の話へ行ってくれないかな。
これ以上待たされるのは、僕はごめんだよ」
……なんて自分勝手な人なの?
自分でドアも開けないくせに、いいたい放題いうんだから。
こんないいかげんな人に霊感があるなんて信じられない。
さっきの話だって、どこまで本当なんだか怪しいわ。
……でも。
これは全部、心の中だけに留めておかなきゃ。
私、ドアを開ける時に見ちゃったんだ。
部室のドアに、大きくヒビが入ってるのを……。
なんて怪力の持ち主なのかしら?
触らぬ神にたたりなし。
こういう人には、係わらないのが一番よ。
みんなだって、そう思ってるはずだわ。
さ、怒らせないうちに次の話へ行こうっと。
私は自分の席に着くと、努めて明るくこういった。
「お待たせいたしました。
それでは次の話へいきましょうか」
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