2、もっと話して欲しい【PS追加END餓死トイレ】 | ナノ
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わかった。
じゃあ、続きを話してあげよう。

ポン吉の世話をしていた彼ね、考えたんだ。
あれは、ポン吉が仕返しをしたんだろうって。
彼は、胸がスッとした気分だった。
それから、何事もない日々が過ぎていったんだ。

そんなある日、彼は久しぶりにポン吉の墓参りに行った。
すると、トイレの中から、彼を呼ぶ声が聞こえたんだ。
何だろうと思って、彼はトイレの中に入っていった。

「誰かいるの?」
しかし、トイレの中には誰もいなかった。
(おかしいな)
そう思った瞬間だった。

出たんだよ。
彼はまさかと思った。
ポン吉を殺したあいつが、個室の扉の脇に立っていたんだ。
「お前のせいで、俺は死んだんだ。
お前のせいで……お前のせいで……」
そういって、その幽霊は、彼に襲いかかってきた。

「うわあーー」
彼は、トイレの中を逃げ回った。
トイレから出ていきたいと思ったんだけど、幽霊が出入り口のところに回り込んで、逃げることができなかった。

そして、とうとう個室の中に追い込まれてしまったんだ。
「たすけて、たすけてーーーっ」
いくら叫んでも、誰も来てくれる気配はしない。
(もう、ダメだ)
そう思ったときだった。

彼の背後にポン吉の姿が見えたのは……。
「ポ、ポン吉……」
(助けにきてくれたんだ)
彼は、そう思って安心した。
しかし、それは大きな間違いだったんだ。

確かに、ポン吉のおかげで、その幽霊はいなくなったさ。
きっと、その霊はポン吉を見て、逃げ出したんだろうね。
でも、ポン吉はそれだけでは、帰らなかったんだ。
その霊がいなくなると、今度は、彼に襲いかかったんだ。
とりついたっていうのが、正解なのかな?

彼は、それからおかしな行動を取り始めた。
別にちょっと見ただけでは、気がつかないくらいの行動だよ。
実際、クラスの友達もはじめは気がつかなかったぐらいだからね。
どういう行動をとっていたのかって?

それはね、お昼休みになると、いつもいなくなっていたんだよ。
弁当も食べずにね。
いつも休み時間になると、弁当箱を持って、どこかに行ってしまうんだ。

そして帰ってくると、弁当箱の中身は何も入っていなかった。
クラスメイトも、彼はどこかで弁当を食べているものとばかり、思っていたんだ。
でもね、次の時間の授業中、彼はいつもおなかを鳴らしていたんだ。

まるで、何も食べていないみたいにね。

はじめは、みんなも馬鹿にしていたんだ。
弁当を食べても、まだ食い足りないのかって。
でも、日にちがたつにつれ、彼はどんどんやせ衰えていった。
心配した友達は、彼が昼休みにどこに行っているのか、つけていってみたんだ。

するとね、彼は、旧校舎の裏の山に行っていたのさ。
そして、彼は、あるところにいって、弁当を食べるどころか、捨てていたんだ。
どうしてそんなことをしているのか、聞いてみようと思って、彼に話しかけてみた。
その友達は、驚いたよ。

彼の顔つきが変わっていたのさ。
そう、狸の顔みたいにね。
友達は、彼に忠告した。
弁当を捨てたりしないで、食べないと死んでしまうよってね。
でも、彼は聞かなかったんだ。

僕なんかより、こいつらに食べさせないといけないといってね。
友達は意味が分からなかった。
こいつらって何なんだろうってね。
でも、よく見ると、弁当を捨てていたあたりに、狸の子供らしい死骸があったんだ。

彼は、狸の子供に食べ物を運んでいたのさ。

そして、彼はとうとう死んでしまった。
栄養失調でね。
家でも何も食べていなかったらしかった。
そのあと、その友達も同じようにして死んでしまったらしい。

それから、あのトイレに行った人も同じようにして死んでしまうんだ。
それで、噂になったよ。
あのトイレに行くと、何かに憑かれてしまうって。
あのトイレって、前から幽霊が出るって噂もあったし、誰もあのトイレは使わなくなったのさ。

きっと、ポン吉は学校に餌を探しに来ていたんだ。
それなのに、彼に閉じこめられてしまった。
それで、ポン吉の子供は、餌が食べられなくなって、餓死していたんだ。
それでも、ポン吉は、餌を運びたい一心で、彼にとり憑いたに違いない。

きっと、子狸が死んだことにまだ気がついていないんだ。
なんだかかわいそうだよね。

そういうことがあのトイレには、あったのさ。
どうして、こんなことを知っているのかって?
そんなこと簡単さ。
この学校の生徒なら、だいたい知っていることなんじゃないのかな。
噂としてね。

倉田さんは、まだ一年生だから知らないのも無理はないけどね。
この話が本当かどうかは、わからないよ。
実際、誇張されている部分もあると思うし……。
信じるか、信じないかは、君次第ってところさ。

さあ、これで僕の話は終わり。
ようやく、あと一人になったね。
もう一人の人って、来ないのかな?
どうも、来そうにないよね。
さっさと終わらせと、帰ろうよ。
僕、お腹空いちゃった……。

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