(水責め)2、ぜひ聞きたい【PS追加END小狸に襲われる】 | ナノ
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うん、わかった。 それじゃあ、話してあげよう。
ポン吉の世話をしていた彼、きっとポン吉が仕返しをしたんだろうって、考えたんだ。
そして、自分の仇もとってくれたんだって。
彼は喜んで、もう一度ポン吉のためにお墓を作ってあげたんだ。

荒らされて以来、まったく世話をしていなかったからね。
そして、しばらくは、平和な日々が続いたんだ。

ある日、彼はいつものようにポン吉の墓参りをしていたんだ。
そのとき彼は、トイレに行きたくなった。
すぐ横には、あの魔物が出るという噂があるトイレがある。
でも、彼は魔物が出るなんて、信じていなかったんだ。
当たり前だよね。

ポン吉を殺した奴を殺したのは、ポン吉の霊だって、知っているんだから。
それで、一番近いそのトイレに行ったんだ。

そこで、用をたしていると、何か子犬が鳴いているような声が聞こえてきたんだ。
「何の声だろう……」

その声は、一匹だけが鳴いているようではなかった。

数匹の何かが、鳴いているようだった。
周りを見渡してみても、何もいない。
でも、絶対にその鳴き声は、トイレの中から聞こえてきている。
彼は、気味が悪くなって、トイレから出ていこうとしたんだ。
「え……」

足元に何かが擦り寄ったような感覚がした。
彼は、自分の足元を見てみたんだ。
そこにはね、子狸が数匹いたんだよ。
まだ、生まれて一ヶ月ぐらいにしかならないような、子狸だった。

その子狸達は、甘えるように、彼に体をすり寄せている。
「わあ、かわいいなあ……。
どうしたんだい?
こんなところに来て……」
彼は、その子狸たちをなでようとしたんだ。
きっと、ポン吉のことを思い出して、かわいくてたまらなかったんだろうね。

「よしよし、いい子、いい子……」
手を差し出した瞬間!

「ぎゃっ!!」
その子狸が、指にかみついたんだ。
彼は、思わず手を振り回した。
かみついた子狸を引き剥がそうとしてね。
その時、彼はおかしな感じがしたんだ。
かみついている子狸が、妙に軽く感じたんだ。

まるで重さを感じなかった。
彼は、手の先の子狸を見てみた。

「わっ、うわぁっ!」

なんと、彼の指先にかみついていた子狸が、ミイラのようになっていたんだ。
彼は、あわてて指先にかみついている子狸のミイラを引き剥がした。
それは、カラカラの干物みたいな子狸、のような死骸だった。

その子狸は、引き剥がそうとつかんだところから、ボロボロと崩れ落ちるんだ。
彼は、つかんでいたミイラを放り投げた。
気味が悪くてね。
足元にいた子狸も、同じように干からびたミイラになっていた。

さっきまで、生きていた子狸が、一瞬のうちに干からびた死骸になってしまったんだ。
彼はがたがたと足が震えて、動けなかった。
するとね、その干からびた死骸が動き出したんだ。
彼に向かってね。

彼は飛び上がるようにして、トイレから飛び出していったんだ。
その時、ひもじいよ、ひもじいよって、声が聞こえたんだって。
下駄箱のところまで逃げて、ようやくその声も聞こえなくなった。

「なんだったんだ、今のは……」
彼は、今のは幻覚だと信じたかった。
でも、指の先から流れる血が、それを否定していた。
それから、彼は保健室で手当をして、家に帰ったんだ。

その日の夜。

寝ていると、どこからか何かが鳴いている声が聞こえはじめて、目が覚めたんだ。
その声は、昼間、あのトイレで聞いた、子狸の鳴き声のよいだった。
彼は布団をかぶって、がたがたと震えた。
あの干からびた狸を思い出してね。

「あっちへ行け!
俺がなにをしたっていうんだ!
来ないでくれーー!!」
彼は、耳を塞ぎながら、叫んだんだ。

でも、いっこうにその鳴き声はなりやまない。
彼は気がついたんだ。

その鳴き声が、耳のすぐ横から聞こえているって事に。
あわてて、その場から飛び退いた。
でも、彼がいたところ辺りには、それらしきものはいなかったんだ。

今度は、彼の右手の方から聞こえてくる。
あわてて、右手を引っ込めたときに気がついた。
その鳴き声は、噛まれた傷口から聞こえているってことに。
彼は、おそるおそる傷口の包帯を外してみた。
すると……。

傷口がぱくぱくと口を動かしているように動いていて、そこから鳴き声が聞こえていたんだ。

「うわあああああああーーーーっ」
彼は、大声で叫んだ。
自分の手が、そんな風になっているんだもの、そりゃ驚くよね。
その声を聞いた彼のお父さんとお母さんが、驚いてね。
あわてて彼の部屋に駆けつけたんだ。

その時彼は、自分の手をハサミでめった突きにしていたんだって。
いくら押さえつけようとしても、それをはねのけて、めった突きにしたらしいよ。

彼はその後、病院にしばらく入院していたらしいよ。
ノイローゼになったんだってね。
それで、魔物が出るっていう噂は、本当だって事になってね。
いまだに、誰も近づかないんだって。

でも、どうして、そこに子狸が現れたのかな。
不思議だよね。
何かポン吉と関係があるのかな。
でも、そんなことはどうでもいいよね。
そこに何か出るっていうことは、かわりないんだもの。

実際、今でも出るらしいよ。
今年の三月頃にも、あのトイレを取り壊そうとしてね。
工事に来た人が、三人も変死したんだって。
ちゃんとお祓いもしたのにね。
今度僕も、あのトイレを調べてみようと思っているんだ。
その時は、倉田さんも行く?
僕一人では、心細いからさ。

一緒に行こうね。
楽しみにしているよ。
それとも、今から行く?
ははははは、冗談だよ。 冗談。
でも、今度行こうね。
ああ、楽しみが一つ増えたよ。
うれしいなあ。

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