(男)最後のトイレ感じない→『1、感じる』【PS追加END謎の太った人】 | ナノ
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「本当に感じるんですか?
どうしよう?
僕も一緒にトイレに入った方がいいんだよね」
細田さんが、なにかもじもじしているようだ。
「どうしたんですか? 細田さん」
僕は、彼に聞いた。

「坂上君、本当に霊を感じるんだろう?
なんか、僕もここからものすごく霊を感じているんだ。
やっぱり、部室に戻った方がいいかもしれない。
悪いことはいわないよ、坂上君」

なんだ、トイレツアーに行こうっていったのは自分じゃないか……。
今まで、僕が霊を感じないっていったら、あんなに残念がっていたのに……。
でも、細田さんの様子が確かに変だ。
なにかに、怯えているように……。

細田さんを、ちょっとからかってやろうかな。
「ああっ!!」

「どうかしましたか!?」
細田さんが焦っている。
「ちょっと、待って下さい。
……僕、急にトイレに行きたくなちゃって」
ははは、細田さんがホッとしているのがわかる。

「じゃあ、僕たちは先に新聞部へ戻っているからね。
用足しが終わったら、すぐ戻ってくるんだよ。
約束だよ」
細田さんは、心配性だな。
「大丈夫ですよ。
すぐ、戻りますから」

僕の返事を聞くと、細田さんたちは新聞部へと戻っていった。
おっと、本当に尿意をもよおしてきたらしい。
僕は、急いでトイレに飛び込んだ。

「うっ」
なんて匂いだ。
ここのトイレは、他のトイレの何倍もアンモニアの鼻を突く匂いがきつい。
僕は、急いで窓を開けた。
外から、新鮮な風が吹き込んでくる。
あー、助かった。
まったくここのトイレ、きちんと掃除しているのかな。

僕はようやく、落ちついて用を足すことができた。
………………………………。
ふう、すっきりする。
………………………………。
ああ、たくさん溜まっていたのかな。まだ出るぞ。
………………………………。
あれ?

僕は、どこからか見られているような視線を感じた。
おかしいな、先輩達が戻ってきたのかな。

僕は入口の方を見てみた。
……誰もいない。
しかし、なんだか誰かに見られているような感じがする。

僕は、周りを見回してみた。
やはり、誰もいない。
気のせいなのかな……。

僕は、トイレから出ていこうとした。
「ねぇ、ちょっと待ってよ」
僕を呼び止める声が聞こえた。
おかしいぞ。
このトイレには、僕以外誰もいないはずなのに……。
僕は、後ろを振り返ってみた。

「!!」
窓の隙間から、誰かが覗き込んでいる!
おいおい、冗談じゃないよ。
ここは、三階だぞ!?

僕はあわててトイレを飛び出そうとした。
出れない!!
トイレのドアが閉まっているわけではない。
ドアは開きっぱなしになっているのに、トイレから出ようとすると、体が前に進まないのだ。

僕は、必死になって、体当たりでもするように出入口の所に突っ込んだ。
それでも、出ることはできなかった。
僕は、全身から汗が噴き出すのを感じる。
後ろを振り返ってみた。

「うわっ」
なんと、覗いていた人がトイレの中に立っているではないか。
僕はあわてて外に飛び出そうとした。
でも、どうやっても外に出ることはできなかった。
もう一度振り向いてみた。

さっきより近くに近づいてきている。
「く、くるなぁーー っ!!」
僕は、力の限り叫んだ。
するとそいつは、僕の方に猛スピードで突っ込んできた。

「うわあああーーっ」
ぶつかるっ!
そう思った瞬間。

そいつは、僕の中をすり抜けていった。
あわてて後ろを振り向いてみた。

しかし、そこにはもう誰もいなかった。
……ハァ……ハァ…ハァ…ハァハァハァハァ。
何だったんだろう、今のは。
僕は、額から流れ落ちる汗を拭った。
「ふふふっ」
「くすくすっ」
「へへへへへっ」

今度は、トイレの中全体から、笑い声が聞こえてくる!
その声は、僕の頭の中でぐるぐる回っているように感じる。
「やめてくれーー」
僕は、叫びながらトイレから飛び出そうとした。

今度は、すんなり出ることができた。
僕は、一直線に部室まで走っていった。
……………………………。

「ハァハァハァハァ……」
「遅かったじゃない」
中では先輩達が、帰りの遅い僕を心配して待っていた。

細田さんが、立ち上がって僕にいった。
「あれ、後ろの人、誰?」
僕は、あわてて後ろを振り返ってみた。

……誰もいない。
「あ、ごめん、ごめん。
何でもないよ、何でもない」
細田さんは、ハッとしたような顔をして、そういった。
そして、僕の方を見ないように顔を背ける。
……細田さんには、僕の後ろに立っている誰かが見えるのだろうか。

僕は、もう一度振り返ってみた。

やはり、誰もいない。

細田さんは、僕の方をちらっ、ちらっと見ては、顔を背ける。
そして、僕以外の人を見ながらいった。
「み、みなさん、坂上君も帰ってきましたし、そろそろ次の話にうつりましょう」
細田さんは、何かに怯えているようにみえる。
……………………………。

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