天気予報なんてあたらない方が多い。今日だって、晴れ。なんて言っておきながら雨が降ってきた。せっかく、今日は4限授業でいつもより早く帰れると思ったのに傘を持ってきていないから、止むまで待たないといけなくなった。でも雨は止むことなく、降り続くばかり。しかもだんだん激しくなってきているように思える。雨が止むのを待って早20分。周りにいた子は部活だの、バスがあるだのでそそくさといなくなってしまった。私の家はバスがあまり通っていない交通不便の悪いところ。いつもは5時のバスがあるのに、今日は早く終わったせいでバスがない。それでも早く帰りたい私は、タオルを頭にかぶせ、帰ることにした。家までは歩いて20分ほどしかかからない。すぐに帰り着くだろうと思い、校門をでる。 5分ほど歩いたところで、突然雨が激しく降ってきた。急いで道を走る。すると、後ろから自転車のベルの音が聞こえてきた。




「羽間、何やってんの?」
「ごめん!何言ってるのか聞こえない!」




雨が地面や家の屋根をたたきつける音で声が聞こえない。でも、私に声をかけた主が泉孝介だということはわかった。彼は合羽を着ていて、ぬれても平気そうだ。だけど、こんなところで呼び止められても私は何も着ていないわけで雨が叩きつけられている地面と同じ気持ちを味わっているのである。




「ん、」




差し出されたのは一本の折り畳み傘。




「貸してくれるの?」
「・・・おう」
「ありが、とう」




微かに聞こえた彼の返事。私は彼から傘を受け取る。私の手は雨に濡れて冷え切っていたのに彼の手はとても暖かかった。彼が見えなくなるまでそこに立ち止まったまま見送る。今頃傘を差しても私の服や髪が濡れているのは変わりなく、私は別にいいかな、と思ったが、差さないとなんだか彼に申し訳ないという思いがこみ上げてくる。仕方なく私は傘をさし、家まで走って帰った。案の定、夜に高熱をだし、次の日学校を休むことになろうとは、この時思いもよらなかった。






雨、時々、熱。



(37度8分・・・。風引いたかもしれない・・・)




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