四時間目が終了したと知らせるチャイムが校内中にながれる。その合図で今まで静かだった教室はクラスメイトたちの声でうるさくなる。なぜなら、これからお昼休みに入るからだ。


今日の私の弁当は学校に来る前にコンビニで買ってきた麺類。今朝起きたら、お弁当が用意されていなかった。いつもなら私が起きてきたころには準備してある。しかし、その弁当を作るはずのお母さんがリビングに下りてきたのは、私の後だった。


私は、お母さんがくれた500円玉を持って家に一個だけ残っていたパンを食べながら学校に向かった。学校の近くにあるコンビニにより、昼食を買ったが、大事な飲み物を買い忘れてしまった。




「ごめん!飲み物買ってくるから先に食べてて!」




友人の唯は、私に向かってオレンジジュースとだけ言い放った。きっと買ってきて、という意味だろう。私もはいはーいと答えて足早に自動販売機へ向かう。早く並ばないと混雑してしまうからだ。自動販売機に付くとやはり、数人ならんでいるようだった。私はパックのジュースが売ってある自動販売機に並ぶ。後ろでは、売店でパンを買う人の行列。こんなところに自動販売機を置かないでよ、と思ったけれどまあ仕方が無い。やっと私の番が来て財布の中から百円玉を二枚取り出す。そしていちご牛乳のボタンを押し、まずは私の分を購入した。その後に唯が頼んだオレンジジュースを買う。取り出し口からジュースを二本取り出し、教室に戻ろうとした時だった。




「やっべ、財布教室に忘れてきたわ」
「俺も100円ぴったりしか持ってきてねーよ」
「はあ?ふざけんな浜田。つかえねー」




この声は、同じクラスで隣の席の泉孝介くんと浜田良郎くんだ。どうやら、財布を忘れてきてパンが買えないらしい。泉くんと浜田くんの後ろにはたくさんの人たちがならんでいて、とても迷惑そうな顔をしている。そりゃあ、レジの前であんなことされると私もちょっと嫌だなと思った。




「あ、あの!100円、でいいんですよね・・・?」




自分の財布から100円玉取り出し、レジのおばさん預ける。おばさんは、笑顔でお金を受け取り、精算してくれた。お金を渡した私は、そそくさとその場を後にする。










教室に着くと唯はもう昼食を食べ終えていて、お菓子に突入していた。




「杏、遅いよー。もう食べ終えちゃったじゃん」
「ごめんね、唯。ちょっといろいろとありまして。あ、はいジュース」




唯は自分の財布からジュース代の100円玉を取り出し私に差し出した。




「受け取りました」




鞄の中から今朝かった昼食を取り出し、パックのジュースにストローをさした。 唯はジュースを飲みながら携帯をいじっている。 唯と話がしたいので早く食べ終えようと努力した。




「えっと、羽間、だよな?さっき100円貸してくれたの」




振り向くと底には泉くんが立っていた。




「あ、うん。困ってそうだったから・・・。迷惑だった・・・かな」
「全然。ありがとな」




泉くんはさっきのお礼と言って、私に100円玉と飴玉を差し出し浜田くんたちのところへ行ってしまった。笑顔が、素敵だった。私は100円玉を財布の小銭が入ってない方に大事にしまった。




「杏、もしかして・・・」
「ち、違うよ!!そんなんじゃないよ!」








たった100円から


始まった恋





(嘘です、本当は一目ぼれしてました。)



2010.06.06 title:1204



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