勝った美丞大狭山高校はグラウンドの整備を行ってください。 私は携帯をパカパカと何度も開閉していた。ベッドの上をなんどもごろごろしながら。孝介にメールすべきか、しないべきか――。だって負けたのにどんな言葉をかければいいのかわかんないし。いや違う、言いたいことがありすぎてまとめられないんだ。孝介のチームが負けるなんて、小さいころから何度も経験したことはあるのに、今回だけは違った。なーんにもかける言葉なんて思いつかない。 「わっかんないよー!」 叫んだのと同時に携帯も着信音という名の声で叫んだ。携帯のディスプレイには「泉孝介」と表示されていた。 「もしもし、」 「負けた」 「うん、知ってる。試合見に行ってたし」 「おれが、もっと打てれば・・・。最悪だなおれ」 プチンとなにかが切れる音がした。なんでウジウジしてるのかわからなかった。こんなの初めてだ。こんなの、孝介じゃない。 「そうだね、孝介にもっと力があれば勝てたかもね。なに落ち込んでんの!もっとがんばんな!キツイ時はいつでも話聞いてあげるから、もっと自分を追い詰めな」 「なんでお前から説教されなきゃなんねえんだよ。・・・でも、あんがとな」 「はいはい。ほら、自主練してきな!」 「おー!いってくんぜ!」 ツーツーと音が聞こえた。 がんばれ、がんばれ、 私はぎゅっとケータイを握りしめた。 涙が溢れてきた。 願い (次は勝てますように) 2011.03.14 |