いつもは季節の変わり目なんてどうってことないのに、異常気象だとか呼ばれる今年の気候のせいで、おれは自分の誕生日にもかかわらず風邪を引いてしまった。
放課後は部活が始まる前にお祝いしてくれるって言うから楽しみにしていたのに、4時間目まで踏ん張ったけどバタンキューで早退。しかも、幼馴染(女の子)に引っ張られて保健室までつれて行かれるとは。誕生日なのに最悪な日だ。
額に冷えピタを貼ってベッドで寝込んでいると、バタバタと音を立てて誰かが階段を上ってくる音がする。急いで上ってくるということは母さんではない。兄ちゃんだったら、もっと音が大きい。父さんがこんな時間に帰っているはずもない。残るは一人。


「おっじゃまっしまーす。利央たん元気?」
「・・・ ・・・」
「わお!利央が反抗できないと言うことはものすごくきついってことだね」


彼女はお隣に住んでいる幼馴染。仲沢家に入るための無期限フリーパスを持っていて、彼女はいつも、「おじゃまします」と言う言葉だけで、のこのことうちにあがりこんでくる迷惑なやつである。


「あのね、利央が悲しんでると思って、部活の皆からお誕生日プレゼントを受け取って来ましたあああ!」
「ありがとォ・・・」


彼女はベッドのそばまで近寄って、受け取ってきたプレゼントを並べる。「今年も大漁でよかったねえ」と彼女は笑いながら言った。おれは、こくり、と頷いた。


「りおーきつい?」
「んー、」
「りおー寒い?」
「んー、」
「りおーぎゅーしてあげようか?」
「んー、・・・え?」


「ぎゅーっ」


力いっぱい抱きしめられて、おれの身体は悲鳴を上げた。言い忘れていました。彼女には一度も腕相撲に勝った事がありません。怪力少女です。




「お誕生日おめでと!」



「ちょ!近いよォ!おれ、汗臭いでしょ!?」
「大丈夫、大丈夫」


彼女は俺から離れて顔を赤くしながらにへら、と笑った。









7センチメートル




(それが、君と僕の距離)






2010.09.21 参加:グッバイブルーバード



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