さーて来週のシークレットガーデンは? 紳士淑女の皆様、お疲れ様でした。ウォルドお坊ちゃまのお世話をさせていただいている執事のハンスです。 屋敷に仕えている者たちはいつでもウォルドお坊ちゃまを温かく見守っております。 今でこそ考えられませんが、ブルーベルお嬢様が通われる前のお坊ちゃまは決して性格が明るい子とは言い難かったのです。誰ともあまり接しようとはせず、いつも自室に籠っていたのですよ。 それを変えてくれたのはブルーベルお嬢様です。 なので、屋敷に仕えている者達は全員、ブルーベルお嬢様とお坊ちゃまの恋を応援しているのです。 まぁ、身分の差があるので結婚はできないでしょうが。 いざとなればお坊ちゃまがブルーベルお嬢様を愛妾にするとか、駆け落ちだとか、手段はいくらでもありますからね。 【次回予告(真面目版)】 ウォルドはブルーベルを手中に収めようと、新たなる作戦を思いつく。 この方法を用いればブルーベルはたちまち恋に落ちてしまうだろう、と。 そうとも知らず、ブルーベルはウォルドの罠にかかって思うが儘になってしまう。 果たして、今度こそ作戦は成功するのか。 次回シークレットガーデン。 好きと言って。 お楽しみに。 【反省会】 その日の夜。 ハンスは屋敷に働く者達を集めて反省会を開いていた。 「どうしてうまくいかなかったのでしょうか」 ハンスがため息をついた。これを慰めるように、料理長がハンスの背中を叩く。 「ブルーベルお嬢様に押し倒されて擽り続けられたんですから、お坊ちゃまはそれはそれで喜んでいると思いますよ」 「そうでしょうか」 「えぇ。きっと今頃、ブルーベルお嬢様と一緒に羽ペンプレイをした、と思っていますよ」 侍女達も頷いていた。 「それにしても、ウォルドお坊ちゃまは本当に明るくなられましたね。ブルーベルお嬢様が来るようになってから、笑うことが多くなって」 「そうね。これまでご自身のお部屋から滅多に出てこなくて、生きること自体を放棄した顔をなされていたし。それが今では毎日が本当に楽しそうで」 ハンスは目じりに浮かんだ涙を指先で拭った。 「ウォルドお坊ちゃまがあのように変わられたのは、全てブルーベルお嬢様のおかげなのです。ですから、私は何としてもブルーベルお嬢様とお坊ちゃまがうまく行くようにお手伝いをしたいのです」 ハンスの言葉に同調した周囲が、大きく頷いた。料理長も浮かんだ涙を隠すように俯く。 「よし。ウォルドお坊ちゃまとブルーベルお嬢様がこのまま仲良くいられるように、明日もビスケットを焼かないとな!」 ハンスは周囲を見渡した。 「では、明日は百回目の作戦会議を開きたいと思います。皆さん、どうぞよろしくお願いします」 周囲はただ静かに頷いた。 【おまけ】 ブルーベルにさんざん擽られたウォルドは、ようやく解放された。 「ブルーベル。手枷、はずしてよ。このままじゃ困るよ。鍵はどこにあるの?」 ブルーベルは周囲を見回して、きょとん、としていた。ウォルドはまさか、と思う。 「鍵、持ってないよ? 最初からついてなかった」 「鍵がないものを、どうして使おうと思ったの」 「鍵がなくてもはずせるもの」 ブルーベルが手枷についた小さな突起を押すと、かしゃっ、と音がして手枷がはずれた。ウォルドはその光景に唖然としてしまう。こんなにも簡単にはずすことができただなんて、と。 「本当だ」 「ね?」 ウォルドは少しだけ沈鬱となった。 |