Secret Garden 〜黒狼侯爵の甘い罠〜 | ナノ













Secret Garden 〜黒狼侯爵の甘い罠〜







 ブルーベルは室内にある机へと向かった。そこから、あるものを持ってくる。
「ウォルド、私、ちょっとドキドキしてきた」
「え? 今頃? 今頃サンダルウッドの効果が?」
「なんだかね、ウォルドに意地悪をしたい気分なの」
 ウォルドはブルーベルが手にしているものを見て真っ青になった。
「ねぇ、ブルーベル。その両手に持っているものは、何に使うの?」
 ブルーベルは自らの両手へと視線を落とした。そこにあったものは、羽ペン。
「これ? ふふ」
 ブルーベルはにこっ、と笑っただけで答えなかった。そのまま、ウォルドがいる寝台へと近づいていく。
「や、やめっ、こないで。なんだか嫌な予感がするっ!」
 ブルーベルの目が据わっていた。明らかにいつもと違う様子に、ウォルドは危機感を覚える。
「ウォルド、じっとしてて。怖いことなんて何もしないから」
 起き上がろうとしたウォルドを強引に寝台へ横たわらせ、ブルーベルはウォルドの服をめくり上げた。それだけで、ウォルドの白い腹部が露わになる。
「ブルーベル、女の子がそんな簡単に男子の肌を見てはいけないよっ」
「ウォルドだって、いつも私の下着姿を見ているじゃない」
「僕はいいのっ」
「どうしてウォルドは良くて、私はしてはいけないの?」
 ブルーベルは面白くなさそうにすると、両手に持っている羽ペンでウォルドの腹部を擽った。
「あはははははははっ」
「擽りの刑よ」
「やめっ、やめてよ、ブルーベルッ」
 嫌がって逃げようとするウォルドを、ブルーベルは強引に組み伏して擽り続けた。
 羽ペンで。
「うふふ。やめてあげない。だって、楽しいんだもの」
「あはははははっ、こ、こらっ、あはは」
「そーれ、こちょこちょ」
 さわさわとウォルドの脇腹から臍の周辺、そしてあばら骨の上をなぞるように羽ペンで擽った。
「ブルーベル、許してっ、お願いだからっ」
「嫌がるウォルドの顔を見ていると、ぞくぞくする」
「や、やめっ」
 その後三十分間、ウォルドはブルーベルに擽られ続けた。
 羽ペンという凶器で。
 ウォルドはその日を境に、サンダルウッドの香木はもう二度と焚かないでおこう、と決めた。






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