Secret Garden 〜黒狼侯爵の甘い罠〜 | ナノ













Secret Garden 〜黒狼侯爵の甘い罠〜







 さーて、次回のシークレットガーデンは?

 お久しぶりです。あなたの心のオアシス、執事のハンスです。
 先週は風邪のせいでこちらへ顔を出すことができず、申し訳ありませんでした。私、かれこれお屋敷にお仕えしてかなり経ちますが、風邪をひいたのは十年ぶりぐらいでしたよ。
 え? 苦情のお手紙がきて減俸になった上にお暇をだされていたのではないか? と。
 いえいえ、風邪でございます。旦那様にお坊ちゃまのことをこと細かく報告をしているので、減俸になるどころか、むしろ賃金が上がりましたよ。
 あっと、このことはお坊ちゃまには秘密です。


 さて、今週のお坊ちゃまですが。
 私や読者様を含めて絶対にお坊ちゃまはしているだろうな、と思っていましたが。
 やはりしておられましたね。いくらブルーベルお嬢様が好きだからといって、まさかあんな大胆な……。
 ハンスは、ハンスはっ、大変遺憾でありますっ!
 ブルーベルお嬢様が知ったら、どんな顔をされることかっ。
 まぁ、でも、これは仕方がないことなのかもしれませんね。
 お坊ちゃまは、ブルーベルお嬢様以外には全く勃ちませんから。
 えぇ、もう、不能も不能、役立たずでございます。
 あぁ、お坊ちゃま……。
 万が一ブルーベルお嬢様と結ばれなかったら、一体どうなるのでしょうか。
 ハンスはお坊ちゃまが心配です。


【次回嘘予告】

 勇者ウォルドは魔王の城へとついに到達した。
 魔王を討つ。
 それだけが、勇者ウォルドの望み。
 魔王を倒して世界を平和に導かなければならないのだ。
 勇者ウォルドは、魔王が待つ王の間へと足を踏み入れた。そこで待っていたのは、華奢で愛らしい、一人の少女。
「よくきたな、勇者ウォルドよ。この私が当代の魔王、ブルーベルである!」
 勇者ウォルドは魔王を見た瞬間、剣を床へ落としそうになってしまった。
「ぐ……っ」
 体中の血液が沸騰するかのように熱く、頭の中が真っ赤に染まる。
 これが、魔王の放つ呪いなのか。
 なんという、可愛さなんだ。
 魔王というより、天使にしか見えない!
 勇者ウォルドはぐっと剣の柄を強く握りしめる。
「どうした、勇者ウォルド。そちらが来ないのであれば、こちらからゆくぞ」
 魔王ブルーベルが厳かにそう告げた。勇者ウォルドは魔王ブルーベルへ向かって剣を向ける。
「僕が勝ったら僕に一生好きなだけぺろぺろさせると誓え。勝負をするのになんの賭けもしないのは、楽しくないからな」
 魔王ブルーベルは得体の知れぬおぞましさを感じて一歩後退した。
「い、いや……、やはり遠慮しておく。なんだかお前は危険な感じがする。これまでの歴代の勇者達とは、明らかに何かが違う!」
「ふふふ。それは、不戦敗、と受け取ってもいいのかな?」
 じりじりと魔王ブルーベルへ近づいていく勇者ウォルド。
「や、やめろ、それ以上近づくなっ」
「嫌だ」
 勇者ウォルドは魔王ブルーベルを押し倒した。

 その夜、新たな魔王が誕生した。
 魔王ウォルド。
 彼は死ぬまで妻であるブルーベルを溺愛した。


【おまけ】

 僕は今、気が滅入ってる。
 昨晩は暑さのせいで寝苦しくて布団を剥いだ状態で寝てしまったのだけれど。
 その際にどうも蚊に刺されてしまったらしい。
 え? どこを、って?
 まぁ、その……、大きな声では言えない場所なんだけれど。
 夜も満足に眠れないほどに痛いっていうか、痒いっていうか。
 とりあえず僕は今、死にそうなほどの地獄を味わっている。
 あぁ、これじゃ、ブルーベルを想いながらアレができないよ。
 はやく完治しないかなぁ……。






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