Secret Garden 〜黒狼侯爵の甘い罠〜 | ナノ













Secret Garden 〜黒狼侯爵の甘い罠〜







さーて、来週のシークレットガーデンSSは?

紳士淑女の皆様、お疲れ様でした。
お坊ちゃまにお仕えしている、執事のハンスです。
今週はお坊ちゃまがひたすらかっこよく見える、がテーマだったそうですが。
おかしいですね。
私にはまったくお坊ちゃまがかっこよく見えなかったのですが……。
私の目がおかしいのでしょうか。
お坊ちゃまがブルーベルお嬢様を背負っているシーンなんて、お坊ちゃまが心の中でハァハァしているとしか思えませんでした。
ブルーベルお嬢様の太ももに触れる、お坊ちゃま。
それに興奮するお坊ちゃま。
かっこよく見えるだなんて。
ふふふ。
御冗談でしょう。
お坊ちゃまの頭と体はエロで構成されているんです。
まさにエロの権化。
かっこよく見えるだなんて。ふふふふ。
いくら冗談でも、もうちょっとマシな冗談をですね。
おっと。
柱の陰からお坊ちゃまが私を睨んでおります。
お暇を出されては困るので、今回はこれぐらいにしておきましょう。


【次回シークレットガーデンSS嘘予告】

ウォルドはブルーベルを何とか手に入れようと躍起になっていた。
ある日、彼は思いつく。
ブルーベルを精神的に追い込んで、自らを助けてくれるのはウォルドしかいないのだと思いこませようと。
そうして彼は計画を実行にうつす。
「ブルーベル。君を救うのはこの僕だけだ。君には僕しかいないんだ」
愛しい少女を洗脳しようと、ウォルドは語る。
ブルーベルもまた、ウォルドを見つめた。熱に浮かされたかのように。
「ウォルド。私にはあなたしかいない。あなただけが私の全てよ」
ウォルドは確信した。ブルーベルをようやく我が物にした、と。
「ブルーベル、そうだよ。君には僕しかいないんだ」
「えぇ、ウォルド。私にはお友達はウォルドしかいないわ。ウォルド以外のお友達も欲しいのに、ミルフィスの村には年齢が近い子供がいないの」
ウォルドは切ない気持ちになった。
「ブルーベル……」
「ウォルド、絶対に死なないでね。ウォルドが死んだら、私、一人ぼっちになっちゃうから」
「うん……。約束するよ。君を置いて死んだりしない」
ウォルドは知らなかった。
ブルーベルを洗脳しようとしていたはずが、逆にブルーベルに洗脳をされていることを。
果たして、ウォルドがブルーベルを洗脳できる日はくるのだろうか。
それは、神のみぞ知る。


 【夢の国の住人】

 ブルーベルはこれは夢だ、と思った。真っ暗な空間におり、周囲には家も木々も何もない。
「ブルーベル、僕と一緒に遊んでよ」
「ブルーベル、大好きだよ」
「ブルーベル、抱きしめてもいい?」
 目の前に、数えきれないほどのウォルドがいた。
「ウォルド、落ち着いて。ね?」
 数えきれないほどのウォルドは、わらわらとブルーベルへと群がった。
「ねぇ、ブルーベル、遊んでよ」
「ブルーベル、今日の服、可愛いね」
「脱がしてもいい?」
 ブルーベルは、誰かがお尻に触れるのを感じた。
「きゃっ、誰っ」
 振り返ったが、そこにはウォルド達しかいなかった。
「僕じゃないよ」
「僕も違うよ」
「僕でもないよ」
 大量のウォルドが口々に違うと言っていた。ブルーベルは、わけがわからなくなってしまう。
「どれが本物のウォルドなの?」
 そう問いかけてみたが。
「僕達全員本物のウォルドだよ」
 口を揃えてそう言った。大量のウォルドが口を揃えて告げる様は、あまりにも不気味。
「全員が本物? そんなはずは」
 ウォルドが分裂して増殖したとでもいうのか。
「ブルーベル、服を脱がせてあげるよ」
「遠慮しなくていいよ!」
「そーれ!」
 ブルーベルは悲鳴を上げた。大量のウォルド達が群がってきて、服を脱がせにきたからである。
「やめ、やめてっ、ウォルド!」
 ウォルド達がくすくすと笑っていた。
「どのウォルドに言ったの?」
「僕?」
「僕じゃないよね?」
 ブルーベルは服を脱がされてしまった。
 大量のウォルド達が、それをじっと見ている。
「見ないで、ウォルド」
 そう告げれば、ウォルド達は頷いた。
「見ないから、触らせてよ」
「見ないから、くんくんさせてよ」
「見ないから、ぺろぺろさせてよ」
 ブルーベルは体中をまさぐられた。
「いやっ、ウォルド、やめてっ、放してっ」
 ウォルド達に襲われた。


 ブルーベルは、悪夢を見た。
 ウォルドという名の悪夢を。
 今日もウォルドの屋敷へ遊びに来たのだが。
「ブルーベル、どうしたの? なんだか様子がおかしいけれど」
「え? そ、そう?」
 ブルーベルはウォルドと距離を置いて座っていた。三人掛けの椅子に座っているのだが、彼は左の端に、ブルーベルは右の端へ座っている。
「ブルーベル?」
 ウォルドが近づこうとすると、ブルーベルは怯えた。
「ひっ」
 ウォルドの目が潤んだ。
「ぼ、僕、何かした? ブルーベル」
「ちが、ウォルドは何もしていないの。夢の中のウォルドに襲われただけで」
「夢の中のウォルド? どういうこと?」
 ブルーベルは、昨晩見た夢をウォルドへ話した。その話を聞いたウォルドは、どんどんと青ざめていく。
「ごめんね、夢の中とはいえ、僕のせいで。怖かったよね」
「ううん、私が勝手に見てしまった夢だから。ウォルドは悪くないよ」
「うん……」
 ウォルドは落ち込んだまま、黙り込んでしまった。
「どうしてあんな夢を見てしまったのかな。傷ついたよね、ウォルド」
「え? いや、大丈夫だよ、僕は」
「夢のことは忘れるね。そうだ、お庭へ行こう?」
 明るくそう言えば、ウォルドも頷いた。
「うん」
 ウォルドとブルーベルは椅子から立ち上がると、一緒に手を繋いで歩き出した。



【おまけ】

 ブルーベルが、僕の夢を見たと言った。
 嬉しい。僕の夢を見てくれるなんて。
 でも、僕はとても頭が混乱していた。
 だって僕が昨日見た夢は、僕が大量に分裂をしてブルーベルを襲う夢だったんだ。
 夢の中で、嫌がるブルーベルにあんなことやこんなことをした。
 きっと、たまたま偶然、同じ夢を見たんだと思う。
 偶然……。
 それにしては、妙にブルーベルの嫌がり方が生々しくて。
「こ、今度から、夢を見る時は気を付けよう。自信、ないけれど」
 ブルーベルが帰った後の部屋で、僕はひたすら落ち込んだ。






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