紳士的で、何事も私を優先しようとする。だけどその目には見せないようにしているけど疲れが見え、しかも何か思い悩んでいるようにも見えた。

彼は長い間、愛を知らない。1人で、何事も器用にこなしてきた。私なんか要らないのではないかと思うほど。だけど彼の生活感のない部屋で2人でいるとき、心なしか甘えられている気がする。それが嬉しくもあり悲しいと思う原因の1つ。私には何も出来ないのかと、自分に失望してしまう。

「ナマエさん」

こてん、とバーナビーは首を私の肩にのせる。
歳が少ししか変わらないのにさんをつけるのは甘えたい証拠、なのだと私は勝手に解釈している。
こうも簡単に彼の行動で私の気持ちは揺れてしまう。彼の甘えが心地よく思ってしまうのだ。

「ナマエさん、」

低すぎず高すぎずの彼の声が私を揺らす。
自分に失望しておきながらかすかに私はバーナビーに必要とされているという自信があるのは私が幼稚だからなのだろう。


「バーナビー、」

くしゃりと彼の髪を撫でる。それを心地良さそうに目を閉じるバーナビー。
ああ、愛しい。そう思う。

彼のメガネを取るときゅう、と体を抱き締められる。…筋肉質で硬い。それも愛しいと感じる。

「すきです」
ぽつりと吐き出された彼の欲望は私にとっての快感で、微笑ましくなる。

「…ニヤニヤするのやめてもらえますか」
ちらりと私を見て、彼はそう言った。さっきまで悩んでいたなんて馬鹿らしくなった。相思相愛でいいじゃない。
私は彼が好きで、彼も私が好き。そして2人して2人を必要としている。虎徹さんには申し訳ないけど、これは譲れない。

彼の顔を両手で包んで高くて白い鼻にキスをする。

「だいすき」

めったにこんな行動を私はしないからバーナビーは驚いたように私を見ている。ぽかんとする彼の顔は絶対にテレビでも見れないと思う。

私は彼に向かってにこりと微笑むと、我に返ったように彼もにこりと笑って今度は唇にふわりと幼いキスをした。

恋人よ





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恋人の日だそうなので:)
初バーナビー
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