依存



「えど…?」

エドは私の部屋に入ってくると瞬間的にドアを閉め私を抱き締めた

「すまない…もう、少し…だけ」
「どうしたの?」
「…思い出したんだ、父さんを」
「うん…そっか…」

エドのお父さんのことはエド本人から聞いた。いまだに犯人は捕まっていないみたい、だからエドは犯人を探している。幼い頃に父親も母親もいない苦しみをエドは経験している。私なら犯人探しどころか生きることを諦めるとおもう。エドは強いと心からおもうよ。いろんな意味で


「名字、僕は…僕は…!」
「エド、焦っちゃダメ。ゆっくり、ゆっくりでいいよ。私は逃げないから」
「ありがとう…」


男の子からしたらエドは小さいけれど、女の中でも小さい方の私はエドの腕のなかにおさまる。優しくて、落ち着く。だけど、ぎゅうぎゅうと私を抱き締めるその腕はさっきから震えが止まらない。

そのまま、時は流れていき、だんだんと震えは消え私を締め付ける強さは緩まった。


「落ち着いた?」
「ああ。だいぶ…中に入ってもいいか?」
「もちろん。」

思えばここは玄関的なところ。男子禁制の女子寮に来ているだけでもバレると危ないのに、ドアに近い所で会話なんて無謀だ

エドは私を抱き締める力を弱め、離した。だけどエドが凄く不安そうな顔をしたから私はエドの手を握った。もちろん恋人繋ぎってやつ。こういう時しかエドに会えないし、普段はこういうことをしてくれないから…卑怯…かな?

私は自室のソファーにエドを座らせて話を聞いた



「どうしたの?」
「…今日、Dヒーローを使ったんだ。」
「どうしても、勝ちたかったの?」
「そうじゃない。ただ、本当のヒーローを教えてやったんだ。無知な子供に」
「そう…」
「けど、思い出したんだ…父さんを」
「うん…。大丈夫、私はここにいる。安心して?」


エドはたまに、Dヒーローを使った日に甘えてくる。やはり、幼い頃の記憶は脳に刻まれやすい。こんなにも彼をトラウマにさせる。しかも、病気の域にはいるほどの。


「僕は…名字がいないとダメだな」
「そんなことないよ、きっと私よりいい人の方が沢山いる」
「僕は名字がいい」
「もう…」
「名字と一緒にいると落ち着くんだ」
「うん…ありがとう」
「好きだ、名字」
「私も好きだよ」



依存
(彼に)(彼女に)((依存している))


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