はぴば!財前




ざあざあと降り続く雨。そして吹き続ける風。一方方向に寄る木。この季節特有の台風。

もちろん学校は休みや。


ちなみに、俺の誕生日。


テニス部の奴等から…言うて白石部長と小春先輩と謙也先輩と小石川先輩からやけど、その人等からは誕生日メールが来た。
あとブログの奴等も。

ただ、なんで、


「名前さんからこおへんねん…!」

昨日部活中に「ちゃんとお祝いするね!」なんて俺の好きな笑顔で言った癖に、


「まじでへこむんで期待させんといてくださいよ、」

ぼすりとベッドに顔を埋める。惨めやわ。

全部、台風のせいやわ。きっと。


「光ー!」


イライラする。じめじめするこの湿度も、生ぬるい風も。


「おい、光ー!!」

兄さんの声も下できゃっきゃっゆうとる甥も。なにもかも俺を苛立たせる。


「聞いてんのか?おい!」
「出てけや、なに勝手に入っとんねん」
「おーこわ、光にお客さんやねんけどなー」

は?

「アホ言え、こんな台風の中で来る客なんておらんわ」
「名前ちゃん、」

「!?」


なんでこいつが名前さんの名前知っとんねん。ニヤニヤしながら俺の肩に手を置く兄貴へのイライラは、正直ない。逆にふわふわしとる。


「あ、ちょ、光っ!」

兄貴を無視して階段をかけ降りて玄関を見ると


「あ、光くん!こんにちは!」

びしょびしょのままビニールの袋を持っていた。

「あ、ほちゃいますか」
「だって光くんには会って祝いたかってん」
「…あほ、」

「…さっきからあほしか言ってないよ光くん」

「なんで、先輩そんな嬉しいことするんすか、、ほんま、ありえへん」
「へへ。これ、プリン。作ってきたの!家族で食べてね」
「あがってください」

ぽかんとした先輩と髪から滴る雨。こんなん、ほっとけるわけないやろ…

「家に、あがってください。」
「あ、でも、あたし濡れてるし、すぐ帰るよ?」
「ええです。風邪とかひかんといてほしいんで」


それ以上に、俺と一緒に居て欲しいんで。


HappyBirthday Hikaru zaizen:)
(おねーちゃんは光とちゅーした?)(ぶっ)(え、あ、あはは)(…兄貴、頼むから義姉さんと子供連れてどっか行けや)(無理やわ。めっちゃおもろい光久しぶりやからなあ)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -