幸村ハピバ




「幸村くん、幸村くん」

いつもする花のような笑顔で俺の元へと駆け寄ってくる名字さん。それを見て俺は花を見たり絵を描いている時のように癒される。

彼女はガーデニングが好きで俺が花を見ているときに話しかけてくれたのが始まり。俺が見ていた花壇は彼女が手入れしていた所らしい。今となってはこの出来事を思い出すだけで笑みが出てくる。


「どうかした?」
「今日はね、この花が綺麗に咲いていたからお裾分け」

名字さんが手に持っていた花を俺に渡す。それは3月に咲く綺麗な暖色の花だった。名前は、知らない。


「いつもは俺を花壇まで連れて行って見せるのに、珍しいね」
「だって今日は花を渡してもいい日でしょ?」

ふわっと無邪気に笑う。

「今日、?」
「誕生日、でしょ?」

「し、って?」
「もちろん!」

受け取って?と言われて少し放心状態だったけど我にかえって花を受けとる。
ふわり、花の香りが鼻に入る。

「この花、名前は?」
「ひみつ!」

いつもと違って花の名前を教えてくれなかった。

「すぐに、わかるよ!じゃあ、誕生日おめでとう!!」

バイバイと一言残して自分の教室に戻っていく。

すぐ、、?


「お、幸村ー!」

名字さんが戻っていく逆方向から丸井が移動教室なのかペンケースと教科書を持って廊下を歩いていた。

「丸井…」
「どうしたんだよ、変な幸村だな。ん?花摘んだのか?」

「変な、とは失礼だなあ。あ、これは名字さんから誕生日プレゼントだ、って。」

「これ、なんだろーなー」

「…丸井」
「わ、違うって。紙、紙はいってんだよぃ」

「え?」


ほら、とそれを取り出して俺に渡す。
そこには幸村くんへ、と丸いけど読みやすい彼女の字体で書かれていた。


「丸井、でかした」
「イエッサー。んじゃ俺行くわー。あ、仁王見つけたら移動って言っといてくんね?」
「覚えていたらね。」
「シクヨロー」


丸井が去ったのを確認して名字さんの書いた小さな手紙を開く。トクトクと心臓の音が速くなった。

ピラリ、少しめくると誕生日おめでとうの文字と花の名前。

「イキシア、、」
貰った花の名前。たしか、この前本で書いていた。イキシアの花言葉、は…

そう考えるといてもたってもいられなくなって、名字さんのいる教室へ走る。顔の筋肉がゆるんでいるのがわかる。

なんて、言おう、、
いい誕生日になった、な。


団結。誇り高い。。秘めた恋
(名字、さん!)(幸村くん?)(俺も、好きだよ!)

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