猫のキスは最初と最後



「蔵ノ介、」

「え、ん」


滅多に俺にデレてくれへん名前は俺の名前を呼ぶことは少ない。なのに部活が終わって一緒に帰ってるときに俺の名前を呼ぶからびっくりした。

しかもいつも俺からするキスもからしてくれた、え、なにこの展開。今日なんかあった?


「え、あ、…?」

「帰るよ、白石」



…あれ?俺もしかして夢見てたん?呼び方も態度もいつも通りに戻ってもーた。あのままでええのに。てか蔵ノ介って呼べ言うたのにな。

「?」
「なに」
「いま、」
「うっさい喋んな」


夢かどうかをを確かめようかと思ってに問いかけようとしたら顔真っ赤にしてスタスタと俺の隣から前方へ行った。
お、これ、夢ちゃうんとちゃう?しかもなんか嬉しい。ヤバい、今俺の顔めっちゃ緩んでる。


「名前ー」
「…」

名前の名前を呼んだら歩く足を止めて後ろを向いてくれた。なんや、これ、可愛い


「かわええなぁ」
「あほか」
「抱きついてええ?」
「…」


あ、これ怒られるか?が怒ってもこわないけど。機嫌悪くなったら良くなるまで時間かかるから大変やけど…
そんなこと考えてたら名前は少し小走りで俺の元へきて俺の背中へ腕をまわした。


「…?」
「…っ」

デレ期や。名前のデレ期がきた。ぎゅうぎゅうと俺を抱き締めて顔をシャツに顔をうめてる。なにこの小動物。


「どないしたん」
「…」
「黙っててもわからんで?」

ガバッと勢いよく顔をあげて俺の顔をジッと見ている。やっぱり顔はほんのりと赤い。目がちょっと潤んでて少し焦りを感じる。俺はなんかしてもうたか、と。


「し、ら…蔵ノ介」
「なんや?」
「あたしのこと、飽きたん?」


「え?」


気の抜けた返事しかでてこおへん。しかもその返事を変に解釈しらしくやっぱりと小さい声で呟いてはポロポロと涙を流しだした。ど、どうすればええん!?


「あた、し…可愛くないし口悪いし、蔵に、嫌われることしかしてへん…」
「な、ど、どうしたん?」


いきなりネガティブになって泣くなんてと一緒におって一度もなかった。正直なんて反応すればいいんかわからん。


「ひか、る、君に言われてん。部長可哀想や、って。こんな可愛ない彼女もってって、いわれて」
「お、ん(財前は部活で30周くらい走ってもらおか)」
「でも、納得できてまう自分がいて、悔しくて、でも蔵が、好きやから…嫌いにならんとってなんてワガママ言いたくなって。だから光君からそんなこと言われるんやと思って、またかなしくなって…不安になって…」

ああ、なんて可愛いんやろ。俺が嫌いになるはずないのに。
とりあえず涙を拭いたらな、な。でも今涙拭くもんなんかないし、一回やってみたかったもんでもやったろか。

名前の涙をペロリと舐めてみる。そしたらは固まって俺をずっと見てる。

「く、」
「好きや。名前のこと死ぬほど好きや。飽きるなんてありえへん」


を落ち着かせようと目を細めて笑みをつくる。

そうした瞬間に柔らかい何かが唇に触れた。それは名前のそれだと即座に理解した。


「す、き」


猫のキスは最初と最後
(名前って猫みたいやな)(…扱い辛いってことなん?)(俺はそう思わんで?)((蔵は猫飼ってるから、慣れてるんかな?))
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