トウコ視点
明日はバレンタイン。お菓子を作るのはあまり得意ではないのでベルに手伝ってもらう事になった。
「ベル、悪いわね」
「いいよ〜トウコの為だもん」
持つべきものは良き友かな。さて何から始めようか。
「誰にプレゼントするつもりなの?」
「ええっと」
メモを書いておこう。ジムリーダー達や、博士、そしてベルとチェレン。
そして...アイツはどうしようか。そもそもチョコ渡したところで「バレンタイン?何それ新しいポケモン?」って言われそうで恐ろしいのだが。
「あれ?N君には渡さないの?」
私がメモした名前の一覧を見てベルが言った。
「気が向いたらね」
「ふぅん。アタシはN君に渡そうと思ってるけど(義理チョコを)」
「え゛!!?」
「ふええ!いきなり大きな声出さないでよお」
「ご、ごめん」
「でもN君は神出鬼没だからねぇ。会えればいいんだけど」
「...ほら、早く作りましょっ!」
バレンタイン当日
昨晩ベルに手伝ってもらったおかげで人数分完成できた。一応1個余分に作ってある。渡す相手は未定。未定よ未定!別にママにあげたっていいんだから!
身支度を整えて出掛ける準備をする。まずは研究所にいるベルやアララギ博士達に渡すのがベストかしら?
「ママー!ちょっと出掛けてくるわねー!」
「いってらっしゃい!頑張ってね〜ウフフ」
一体何を頑張れと言うのか。片手で頬を押さえ若いわねーと呟くママにモヤモヤしながら玄関に向かう。チョコも持ったし完璧!
そのまま外に出ようと扉を開けた。
『おはようトウコ。見てみたまえ!あそこにマメパト達が―』
「」
トウコ は こんらん している!▼
『どうしたんだい?今日はチョコを貰える日だったよね』
トウコ は わけがわからず N に こうげきした !▼
「おらあああああ!!」
『ぐはっ!!』
「...ハッ!私、今何を?」
我に返って辺りを見回すとNが地面に寝ていた。どうゆうことなの。
「おい起きろN」
『うう...朝から随分と元気だねキミは』
「人の家の前で何やってんの?ストーカー?警察に突き出したほうがいいのかしら」
『随分冷たいんだね』
「...私は忙しいの。構ってらんないわ」
「おぅい!トウコーおはよー!」
救いの女神現る!ベルにチョコを押しつけて逃げてしまおう
「N君も一緒なんだねえ〜!これN君にあげるよ」
『...アリガトウ』
「トウコにも!友チョコ〜♪」
「ありがとう。これ私からの気持ちよ!博士たちの分もあるから一緒に食べてね」
「うん!トウコからのチョコ、久しぶりだねぇ。2年振り?」
『ボクの分はないの?』
「ストーカーにくれてやるチョコはないわよ。行こうレシラム!」
\ンバーニンガガッ/
訳.貴様!英雄といえどもトウコに手を出したらクロスフレイムの刑じゃ!覚悟いたせ!
「よし!今日もレシラムはやる気満々ね!」
『殺る気の間違いじゃなくて?』
そうして私はレシラムと共に大空に飛び立った。Nがシュンとした表情でこちらを見ている。何この罪悪感。タブンネを倒した時と同じような気分だ。
普通にNにもチョコ渡せばよかった。Nを前にすると変に意地を張ってしまう。
***残されたベルとNの会話
「あ〜あ行っちゃった」
『ボクの全身からあふれるトウコへのラブはいつ伝わるのだろうか』
「多分そういう態度が駄目なんじゃないかな」
『ボクは彼女に嫌われているの?あとレシラムにも』
「トウコはツンデレさんだからねぇ」
『つんでれ?』
「うーん。素直になれない人の事を言うのかなぁ」
『なるほど。つまりトウコはボクの事好きなんだね!』
「うふふ。寝言は寝て言った方がいいよぉ」
『...さらりと酷いこと言うよね君も』
***再びトウコ視点
現在の時刻18時。カノコタウンに無事帰還。イッシュ地方のジムリーダー達やチェレンの居るヒオウギを訪ねている間にすっかり空も暗くなってしまった。1個を除いて、渡そうと思っていた人にはチョコを渡すことができた。手元に残ってるのはママに押し付けようそうしよう。
「レシラムお疲れ様!ゆっくり休んでね」
そう言ってレシラムをボールに戻す。その瞬間私は背後の気配に気がついた。
「誰っ?」『ボクだ』「お前だったのか」『また騙されたな』「騙されてねーよ」
『暇を持て余した?』「...言わないわよ。」
なぜそのネタを知っているのかというツッコミを入れようとしたが我慢する。
それよりNがまだここにいたとは不覚だった。
「神出鬼没ってレベルじゃないわよアンタ」
『トウコに褒めてもらえるなんて光栄だよ』
「褒めてねーし」
『これがツンデレか』
「誰に教わったのよソレ!?そもそもデレの成分ないじゃん」
『素直じゃない所が可愛いよ。さあボクの胸に飛び込んでおいで!』
「...レシラムの炎で焼いてやろうかしら」
『素敵なジョークだねHAHAHA』
「(殴ってもいいかな)」
『こんな時間まで何処に行ってたの?』
「みんなにチョコを渡しに行ってただけよ。アンタの分はないけど」
『みんなって、例えば誰に?』
「チェレンとか」
『そう。ちょっとヒオウギジム襲撃してくる』
「オイ止めろ」
『やだなぁ。ジョークに決まってるじゃないか』
「プラズマ団にいた頃と同じ目をしてるわよ」
これ以上Nの相手をするのも面倒だ。仕方あるまい。
「もうっ!しつこい男は嫌われるわ。余ったチョコあげるからどっか行きなさい」
『やっぱり君はツンd(ry』
「だ ま れ 」
『でも嬉しいよ!今ならタワーオブヘブンの頂上から飛び降りても大丈夫な気がする』
「別に構わないけど、幽霊になって出てくるなよ」
『貰ったこのチョコ凍らせて保存しておくね』
「いや食えよ」
『今日はありがとう!!また来るよ!』
「二度と来んなー!」
Nは子供のような笑顔を見せて帰っていく。私はたまにはこういうのも悪くないなと思いながら家路を急いだ。
END
追記。
いいオチが思いつかなかったです。
Nが変態になってるような(・3・) アルェー
Nのバレンタインの知識はベルから教えてもらいました。