4.5:面倒事
(焦凍side)
クソ親父に呼び出されてみれば婚約者がどうこう言ってきた。
そんなもの居たって居なくたって何も変わる事なんてねえだろ。
教室に入ると笑顔を浮かべながら近寄って来る緋色の長い髪の女が婚約者だと分かる。
その緋色が忌々しいクソ親父を連想させる。
胸糞悪いと一方的に近寄る事を拒否した。
俺が何を言ってもニコニコと笑う女に溜め息を溢す事もあった。
家に来たりするものだから親父に何かされてからでは遅いと怒鳴って帰らせた事もある。
『焦凍さん』
俺の名前が呼ばれる度に胸の奥から得体の知れない何かが沸き上がる。
早く目の前から居なくなってくれと俺は切に願った。
2018.2.20.
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