4:垣間見る優しさ
それからの私は毎日屋上やら体育館裏へ呼び出される事が多くなった。
そして、翌日の学校のない休日になった訳ですが私は轟家の前に居ます。
インターホンを押すとお手伝いさんが足早に来てくれた。
『お久しぶりです』
「まあ、名前ちゃん大きくなって…」
『炎司さんはいらっしゃいますか?』
「自室にいらっしゃると思いますよ」
お手伝いさんに案内されて焦凍さんの御父様である炎司さんにこれから挨拶をする。
『名前です。入っても宜しいでしょうか?』
「入れ」
『失礼します』
いつものヒーローコスチュームではない炎司さんを見るのは何年ぶりか忘れてしまったが目を伏せて頭を下げる。
「久しいな、名前」
『はい』
「焦凍とはどうだ?」
『…余り良好とは言えません』
「そうか」
炎司さんは私の頭を撫でる。
「焦凍を頼む」
『はい』
一瞬見せる炎司さんの優しさに顔が綻びる。
部屋から退室して帰ろうとした時に焦凍と居合わせた。
『こんにちは、焦凍さん』
「…何で居る?」
『炎司さんに挨拶をしに来ただけです』
「…帰れ」
『はい。では、また学校で』
そのまま玄関に向かおうと歩きかけた瞬間、手首を掴まれる。
『焦凍さん?』
「クソ親父に何かされたか?」
『いえ、何も』
「…そうか」
パッと手が離されて今度こそ玄関に向かい轟家から出た。
2018.2.19.
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